「幻想虎徹の作った聖剣ねえ?」
「ん!父様も持つ!」
まじまじとしとりとひとえの持つ聖剣を見つめる左之助さんに向かって、しとりは鳳凰天舞を差し出すと大広間の方から邪気を感じました。
蛮竜が怒っていますね。
嫉妬深いと嫌われますよ?*1
「しこーけん。ねーさまと違う」
「しとりの鳳凰天舞は十本の聖剣の頂点に立つものですが、ひとえの紫煌剣は銀河のごとき煌めきを放つ聖剣なので系統は違いますね」
全属性を操る鳳凰天舞。
光や熱を操る紫煌剣。
どちらも極めて強大な聖剣です。
「この聖剣ってのは何か意味があるのか?」
「其処はまだ不明ですが、秩序と混沌の聖剣戦争を行っていたという話しは聞いたことがあります。左之助さんの蛮竜も可能性はありますね」
「まだまだ楽しめるってわけか」
……その頃には、もう私はいないでしょうが。
しとりとひとえの行く末を見守りたい。あと三年の猶予を与えてください。せめて、しとりの花嫁姿だけは目に焼き付けておきたいんです。
「景も聖剣持ったのか?」
「持ちましたが、二人のように力を示す事はありませんでしたよ。私は鍛えていませんし、ひとえのように稀有な身体能力でもありませんから」
「そうなのか。戦えるようになった景を押さえ込んでみたかったんだがな」
……時折、嗜虐心をまろび出すのはやめてください。
怖いですし、恐いです。左之助さんにパンチなんてされたら骨は折れてしまいますし、そういうものは苦手なので止めてほしいです。
本当に困ってしまいます。
「左之助さん、左之助さん、私は戦えても普通に弱いと思います。子供より足は遅いですし、運動神経も鈍いですし」
「ああ、長屋の時も『こいつ、押し倒しても逃げられねえな』とか思ってた」
「あの、子供の前ですからね?酔ってます?」
「酔ってる」
一升瓶を五本も飲んでいたからか、ものすごく顔の赤くなった左之助さんは私のお膝の上に倒れ、グウグウと眠り始めてしまいました。
「父様、寝たの?」
「たまには深酒もありということです」
「ん!わたしはお酒飲まない!」
そうですね。
私はお酒に弱すぎますから、しとりとひとえに遺伝してしまっていたら大変なことになります。お酒を飲むときは信頼できる人といるときです。
恐いので今はやめておきましょう。
左之助さんが起きたら、私は寝室に彼を運ぶ……運べますかね、180センチを越える左之助さんを、150センチしかない小柄な私に……。