凡そ一年半後、私は死ぬ(推測になりますが、おそらく最低一年ほど)です。左之助さんには、まだ話していませんが終活準備を始めています。
いわゆる、私の死後に起こり得る遺産相続の事を含め、愛娘達に譲渡する権利を確保しています。左之助さんには想い出の品々を守って貰う予定ですね。
予定です……っ!
「い、痛いです!左之助さん!」
「景、遺書ってどういうことだ?」
「ひぎぃうっ…!」
コキコキとうつ伏せの私の背骨を押し、整体と按摩という名目で尋問してくる左之助さんに襦袢だけにされ、ベチベチとお尻を叩かれる。
こ、これは、立派な悪事です!
「み、三下り半しますよッ」
「は?」
「アッ、いだいっ!いったあぁ…!」
足ツボを押され、枕を抱き締めながら必死に悲鳴を押さえるも涙が出てしまう。それに、この格好だとお尻の形が出ちゃうからすごく恥ずかしいっ。
意地悪な左之助さんは苦手です!
「ご、ごめんなさいっ、い、遺書書いてすみませんでしたから!足のツボ押すのやめてぇ…!」
「泣くなって」
「うぅ、涙脆くないですよっ」
ポフンと枕を左之助さんに押し付け、着物と帯に手を伸ばすも布団の中に、また引きずり込まれ、腰の按摩が再開され、痛いのに気持ちいい指圧に腰が、コキコキと音を立てて歪みを治される。
「ひっ、ひっ、ひっ」
「…あんま煽るな。折りたくなるだろ」
「だ、だって、腰が…」
「まあ、確かに細いもんな。片手で腰を半分掴めるとかすげえことになってるぞ。これで、二人も産んでくれたのか……」
ひみつ道具とショドウフォンの入った着物に手を伸ばすも小柄なせいで届かず、ゴキッと腰の辺りで鈍い音が響き、ビクンと身体が跳ねる。
お、折れた?
まさか、私の腰って折れましたか?と恐る恐る後ろに首だけを傾けて振り向くと自分の顔を殴っている左之助さんがいました。
「な、なにしてるんですかっ」
「いや、煩悩魔人をぶん殴ろうと」
「? えと、わ、私も煩悩魔人です!」
ペチペチと自分の顔を挟むように叩いて、程なくしてじんわりと痛み出してきた頬っぺたを擦り、叩きすぎたことをちょっとだけ悔やむ。
「景に煩悩なんてあるのか?」
「い、一応、あります」
「…………」
「?」
むにむにと頬っぺたを触ってくる左之助さんに首を傾げつつ、顔を捏ねて撫でてくる左之助さんに目を細め、眼鏡が外されて見えなくなるのも恥ずかしく思いながらも撫でてもらえることを甘受します。
「これで黒幕扱いだもんな」
「く、くろまくじゃないですよ?」
「知ってる」