しとりとひとえの初めての姉妹喧嘩は結局のところ、曖昧な終わり方でしたけど。二人ともお互いに強いことを知れて、弱いところも知ったわけです。
しかし、本当に姉妹は仲良しです。
「ごめんなさい、ひーちゃん」
「ひーもごめんなさい、ねーさま」
「オレ達だったら殴り合いだな」
「え?」
突然の殴る発言に戸惑いつつ、私は左之助さんに「な、殴るなら一思いに心臓を」と言いかけたところで「いや、景を殴るわけないだろ」と言われました。
そう、ですよね。
ほうっと安堵しながらも左之助さんなら、私の手足を折って痛め付けることだって出来ますし。今さらそんなことするわけはいですよね。
北海道での事、忘れませんからね。
「……なんか陰り顔になってるぞ」
「かげり顔ってなんですか?」
「黒幕にちなんだ言葉らしい」
それは、ただの犯沢さんなのでは?
私にあんな全身真っ黒なタイツを履けと言うんですかと言いそうになるのを我慢する。「名探偵コナン」は流石に書けません。
普通に怖いです、一日に千件近く殺人事件の起こる世界なんて誰が行きたいんです。私だったら直ぐに絶望して、引きこもり生活です。
下手したら死んじゃいます。
そんな怖い世界には行きたくないです。それに、あの世界に転生したら「お前が犯人だ」とか「お前があのお方だったのか」とか言われるに決まってます。
「……ところで、左之助さん」
「なんだ?」
「その右手の怪我はどうしたんですか」
「ああ、しとりを運んでるときに鳳凰天舞に触ったら焼かれそうになった。あの剣、絶対に可愛い女にしか触らさねえぞ」
ものすごい偏見ですね。
けど、あっているかも知れませんね。
私でも抜けて触れるのに、左之助さんが持つことも出来ないのはおかしいです。まあ、可愛い女という部分に、私が該当しているのかは怪しいけれど。
「紫煌剣はどうでした?」
「目が、見えなくなり掛けた」
「成る程、幼女大好き聖剣ですか」
あまり、そういう代物は娘達の傍に置いておきたくないのですが、あからさまに威圧感を放つ聖剣に触る勇気は私にはありません。
すごく怖いです。
「まあ、しとりとひとえは危ないことに突撃したりする事はないし。やたらと男を惹き付けることも……惹き付けてるな、やっぱり潰すか?」
「……ダメですよ?」
左之助さんのその言葉はすごく怪しかったです。左之助さんなら本気でしとりとひとえに近づく男の子を影から襲ってしまいそうです。
本人に言ったら、お、怒りますかね?
ちょっとだけ不安になりました。