久々に家族でお出掛けです。
桜の見える場所に座っても大丈夫なようにブルーシート(ドクトル製)を敷いて、重箱を開けて、受け皿とお箸を渡して行きます。
のんびりと過ごせる時間、安心します。
「おむすび、どうぞです」
「ん」
「……ちゃんと普通に食べてほしいです」
「景の箸から食べたろ?」
私の差し出す俵型のおむすびをお皿に受け取らず、そのまま食べてしまう左之助さんに苦笑を浮かべつつ、しとりとひとえも口を開けているので、おむすびを差し込み、また苦笑を浮かべます。
炒りゴマと塩を混ぜた胡麻塩おむすび。
美味しいので大変満足です。
「しかし、桜の木が多いな」
「桜花絢爛というものですね」
この日のために用意していたお酒を取り出し、私は左之助さんのお猪口にお酒を注ぎ、しとりとひとえに林檎のジュースを入れる。
私もサンピタラカムイ様の神酒を物凄く希釈したものを一口だけ飲み、ほうっと吐息をこぼす。神酒のおかげで、まだ身体は動くけれど。
「母様、玉子に何か挟まってる!」
「フフ、なにか分かりますかあ?」
「ん、んー、ん?」
卵焼きを食べるしとりはモグモグと小さなお口を動かし、真剣に考えています。ひとえはタコさんウィンナーにつけたゴマの目と見つめ合い、食べるタイミングを見失っているのでしょうか?
「かーさま、おいしいね」
「喜んでもらえて良かったです」
ちゃんと記憶に残っておきたいですし。
貴女達に思い出してもらえるような、とても素敵な思い出を作りましょう。ですが、あまり危ないことはせず、安全な生活ですからね?
「景、お前も食べろよ」
「フフ、食べてますよ。ほら」
おむすびを見せると「まだ半分も食べてないぞ」と言われるものの、私はそんなに多く食べられるお腹はしていませんから。
「からあげ!」
「ん!……ん?ん!ん!!」
「辛かったですか?」
「何かしたのか?」
「揚げる前に檸檬や麹に浸けて、味を整えていたんですけど。しとりには酸っぱかったみたいです。しとり、こちらは普通の唐揚げです」
「ん!どっちも美味しい!」
「美味しかったみたいだぞ?」
「それなら良かったです」
───何やら視線を感じますね。
キョロキョロと周囲を見るも特に人間がいる様子もなく、左之助さんの背後に立つ……聳える蛮竜が、鳳凰天舞と紫煌剣に喧嘩を売っているのは事実です。
この世界の妖刀や聖剣はヤンデレ・メンヘラ気質なのでしょうか?と真剣に悩みつつ、未来的に考えると過保護なのは良いことかもしれませんね。