「糸色君、少し顔色が良くなったね」
「お世辞でも嬉しいです」
私の胸に聴診器を当てて、心音を測るドクトル・バタフライの言葉にそう答えつつ、左之助さんの「オレの景の胸に触りやがって」という言葉を華麗にスルーするドクトル・バタフライに苦笑を浮かべる。
嫉妬深く私を縛り付けようとする左之助さんに倒錯的で偏愛的な気持ちを向けてしまいます。やっぱり、左之助さんはカッコいいです。
「オッサン、景は治るのか?」
「体調は改善しているよ」
体調「は」改善している。他の場所は治っていませんし、弱っているままということですね。いえ、分かっていたことではありますけど。
少し辛いです。
しかし、そういうこともあるのでしょうね。
「左之助さん、お尻を触るのやめて下さい」
「触ってない。腰だ」
「そこはお尻です」
なでり、なでり、とお尻を触る左之助さんから、ちょっとだけ身体をずらし、着物を着直しているとすごく不満そうに見てきました。
エッチなのはいけませんよ、もうっ。
最近の左之助さんはボディータッチが多すぎると思います。私だって大人の女なので、そういうつもりなのは多少は理解しています。
ですが、診察中にするのはダメです。
「左之助君、節度は守ろう。糸色君の身体は君とのせいこぐむっ……何をするのかね」
「こ、言葉に出さなくて良いですから」
「大人なのに、まだうぶだな」
「大人でも、です」
「その話、彼も聞いているが?」
それは知っています。
いえ、そもそもです。
私に押し付けるのはダメだと思うんです。じ、自分で致すなどして、もらえると、ですね。
「遊廓はダメなのかね」
「うぅ」
「オッサン、遊廓なんて行くわけねえだろ?まあ、夫婦になる前は行ってたけど」
「え、そ、そうでしたね」
あんなにすごいのに、私が初めてなわけないですよね。わ、私の初めては左之助さんですけど。
「しかし、彼女の負担を考えるとだね」
「まだ堕とし切ってねえからな。景が外聞も気にせず、でろんでろんにオレに甘えきったところが見てみたいんだよ」
「ほ、ほんにんも、いるんですが......」
「聞こえるように言ったからな」
うぅ、そういうところはダメです。
「まあ、そういうわけだ。治せ」
「診察の邪魔をしているのは君だが?」
「あ、あはは......」
流石に、それは否定できませんね。
でも、愛してもらえるのは嬉しいです。ちょっとだけ愛憎にようになったら怖いと思ってしまうのもありますけれど。そこは、左之助さんと話し合いです。