セントルイスの悪徳酒場「ベラドンナ」の破壊を終えたビュー・バンズとウィル・ジョンストンのふたりは満足げに帰り、左之助さんは怪しくて仕方ないウィリアム・ヘンリーの手足を縛り、回転式拳銃を取り上げて窓の外に吊るしている。
尤も私は倒壊する「ベラドンナ」の衝撃にビックリして、そのまま気絶し───。まあ、実際はドクトル・バタフライの配慮でベットに寝かし付けて貰っていた様だけど。翌日のお昼に彼の存在を教えられた。
「やあ、降ろして貰えるかな。折れた肋がミシミシとエグい音を立てて、そろそろ死にそうなんだけど。あと出来ればお水を貰えると助かるよ」
「全然反省してねえな、もっと吊るしとくか」
「アァーーーッ!!ソーリーソーリー!?もう冗談は止めるから降ろしておくれ!」
ヘラヘラと曖昧で軽薄な態度をわざと取っているウィリアム・ヘンリーに左之助さんは溜め息を吐き、ペーパーナイフを振って縄を切り裂いた。
ペーパーナイフって縄も斬れるんだ。
「……ふう、あっ、僕の銃返し、て…ん?…」
「えと、なにか?」
左之助さんに片手を差し出していたウィリアム・ヘンリーの視線が私に移り、首を傾げながら何かを考え込み始める。また、ドクトル・バタフライの差し金か、あるいは助言を与えているのだろうか。
「片手に」
「……ピストル?」
「ああ、お姉さんがそうなんだ。よろしく」
「はあ、どうもです」
いきなりLXEの合言葉の一部を言ってきた彼に困惑しながらも答えたら納得した。おそらくドクトル・バタフライが教えた合言葉なんだろうけど。
彼の「武装錬金」に対する情熱の強さは凄くて、私なりに絵柄を寄せて描いた「武装錬金」にも満足げに頷きつつ、修正するべき箇所を書き綴った物を送り返してきたのは面倒な思い出ではある。
「(……しかし、どうやってドクトルはこのウィリアム・ヘンリーという男の人を転生者と突き止め、彼の信頼を勝ち取ったのだろうか。あの髭で、でしょうか?)」
私は少しヒントと何か新しい発見が得られるかも知れないと思い、その考えを隠して左之助さんに聞こうと彼を見上げた瞬間、ギラリと妖しく恐ろしい両目を見開いて怖い顔をした左之助さんが私を見つめていた。
「あの、こわいです、左之助さん?」
「泣いても問い詰める」
「ひぇっ」
「痴話喧嘩かい?邪魔なら出ていくけど」
そう言ってウィリアム・ヘンリーはガンベルトを掴み、回転式拳銃と一緒に部屋を出ていき、私はちょっと怒っている様な顔付きの左之助さん、ぐっすりとまだ眠っているしとりのいる部屋にいる。
「お、怒っちゃイヤです…」
「怒ってねえよ、話すまで聞くだけだ」
「あっ、やっ…!」
逃げることも出来ず、私は左之助さんに捕まった。なんだか、前にも同じことがあったような気がする。いや、あの時は神谷さんたちに見捨てられて。