「! 姿お兄様、お久しぶりです」
「やあ、久しぶりだね。景、また痩せたね」
「……そういう言葉を妄りに女性に言ってはいけませんよ。鎌足お義姉様に怒られますよ?」
「やーねー、その程度じゃ怒らないわよ。まあ、鎌は振るうかも知れないけど」
そう言って笑う鎌足お義姉様と姿お兄様の傍に居る筈の子供は居らず、どこへ?と首を傾げていると「ああ、子供達なら悠久山和尚の開く寺子屋だよ」と教えてくれました。
そういえば京都在住でしたね。
「……未だに勘当されているんですか?」
「まあ、僕は長男の役目を果たせていないからね。父様としては芸能を継いで欲しかったんだろうが、そちらも景に任せることにした」
「姿、だめよお?」
「お義姉様、私のお兄様の御世話をしていただき、本当にありがとうございます。きっと、彼方此方そちらどちらへと行き続けているのでしょう?」
「否定はしないね」
「否定してほしいです、お兄様」
「仲良しねー」
のほほんと笑うお義姉様に釣られて、私も笑ってしまう。しかし、いきなり我が家にやって来た理由はなんでしょうか?
「さて姿お兄様、ご用件は?」
「ああ、うん、変な刀を見つけてね」
「刀、ですか」
少しだけイヤな予感を感じながらも視線を姿お兄様の背負っている刀袋に視線を移し、直ぐにまたお兄様の事を見上げます。
「この刀の名前を知りたくてね」
そう言うと正門前だというのに刀袋の締め紐を解こうとする姿お兄様を止めて、家の中に案内します。手洗いうがいをしてもらって、居間に向かう。
「何だか物が増えたね」
贈り物が多いんです、しとりにですけど。
「左之助はいないのかい?」
「お仕事です」
「ふむ、好都合だね」
「そうねえ」
するりと私の肩に手を置く鎌足お義姉様に首を傾げていたその時、姿お兄様の引き抜いた刀に、私は思わず、目を見開いてしまった。
「その顔で分かったよ。知ってるんだね」
「……妖刀はたもんば」
「妖刀なのかこれ」
「あの、首を斬れと言われませんでしたか?」
「今も言われているね」
涼やかに告げる姿お兄様の持つはたもんばに、ペタペタとお札を貼りつけていき、二度と目覚めないように『封』『印』と文字を刻み付けます。
ただ、私のモヂカラでは数年が限界です。
私の死後に誤って抜いてしまうと、もはや手出しすることは不可能ということになります。というより、盗難品の代物ですから返しに行きましょう。
「盗難品なんだ」
「鎌足お義姉様、支えてくれてありがとうございます。おかげで助かりました」
「うふふ、良いのよ。私の妹だもの」