左之助さんと向き合う姿お兄様。
「女の姿だと、マジで景にそっくりだな」
「兄妹だからね。似るものさ」
そう話し合いながら笑っている姿お兄様の胸は、私より大きく少しだけ羨ましく思います。せめて私もあれの半分はほしかったです。
うぅ、どうして?
ペタペタと自分の胸を触る度、空しさに泣きそうになります。どうしたら、あんな風になれたのでしょう。やはり栄養を取れているからですよね。
「ん、母様元気出して?」
「しとりは大きく育って下さいね」
「ん!」
「かまちゃん、ひーもおっきくなる?」
「えぇ、大きくなるわよ」
ひとえにそう微笑みを向ける鎌足お義姉様。
すでに胸囲の格差に泣きそうですが、子供達も居るのに涙を流すわけにはいきません。いえ、泣いたら負けてしまった気がします。
せめてもの抵抗です。
「女の身体で戦うのか」
「ハンディキャップというヤツだよ。日本最強なんて名乗る生意気な義弟に、立場というものを教えてあげようと思ってね」
「……思ったより邪な考えですね」
そう呟きながら木刀を二刀流に構える姿お兄様に左之助さんは踏み込み、素早く鋭い拳打のラッシュを繰り出す。が、姿お兄様は紙一重、半歩後ろに跳んで避け、逆に左之助さんの腕を斬った。
「っぶねえな、このチビ」
「おい。それは禁句だぞ」
私からすると二人とも高身長なんですけど。
「けどまあ、喧嘩は何も拳だけじゃねえぜ!」
蹴り上げ。
木刀の柄頭を蹴り飛ばし、軸足をひねり、ブラジリアンキックめいた変則的な斜め下に向かうかかと落としを決める左之助さんに姿お兄様は柄受けをする。
「流石だわ、姿」
「よく防げますよね」
瀬田宗次郎の様に才能による感覚派と違い、姿お兄様は感覚と努力を合わせて使用しています。極めれば俯瞰して見えるというスタンスにいるわけです。
灘神影流風に言えば「空眼・気眼の目付」になります。姿お兄様は自分の肉体を真上から見ることが出来る、領域に踏み込んでいる。
「うぉらっ!」
「そのまま蹴り抜くかよ、ふつう」
しかし、あくまで剣客としてです。
喧嘩屋の土俵に上がってしまえば剣客という立場は不利。素手の左之助さんの動きに姿お兄様は後手に回り、しっかりと左之助さんを観察しています。
やっぱり、そういうところは似ますね。
私も観察するとき、見つめます。
被写体を観察するのは、当然のことです。
「コイツも喰らっとけッ!!」
「木刀がっ!?」
二重の極み、炸裂────。
すでに見ているはずなんですけれど。
姿お兄様も受けてしまいますよね。