「う~ん、やっぱり強いね」
「まあな」
「秘刃使っていい?」
「殺す気かてめぇ!?」
「妹は僕が面倒を見るよ」
わざと煽る言葉を言う姿お兄様に「全く、冗談も程々ですよ?」と言ったら鎌足お義姉様に「景は姿にだけ鈍くなるのは何でかしらね」と言われました。
鈍くなっているつもりはないんですけど。
「何かあったのでしょうか?」
「何でもないのよぉ」
「鎌足お義姉様も怪しいです」
「うふふ、なんでしょうねえ?」
私に隠し事するということは、何か考えていることがあるということです。────とは言え、私に止めることは出来ません。
「ねえ、景は怖くないの?」
「怖いですよ。今だって左之助さんや姿お兄様が怪我するんじゃないかと不安ですし、娘達の事も心配です。だから、死ぬことよりもみんなが心配で怖いです」
「ほんっとに、良い女だわ。姿や志々雄様に出会ってなかったら貴女の事を口説いていたかもね」
「あらあら、どうしましょうか」
そんなことを話していると戦っていた筈の左之助さんと姿お兄様によって私達は離され、縁側の真ん中にお茶の入った湯呑みとお饅頭だけが残ります。
「鎌足、君は僕の妻だろう?」
「景、お前はオレの妻だろうが」
「「浮気は許さないぞ」」
突然の言葉に私も鎌足お義姉様も困惑する。
あ、ああ、そういえば鎌足お義姉様は元々は男の人でしたね。ずっと女性だと思っていましたから、そちらの感覚は薄れていました。
しかし、姿お兄様(この場合はお姉様ですが)は、鎌足お義姉様の子供を産んでいますし。そう考えると、強ち冗談というわけでもありませんね。
「あ、あはは、流石に冗談ですよ、左之助さん」
「そーよ。確かに、景のうなじやお尻は魅力的に見えたけど。まだ浮気はしていないわ。だって、景を誘惑しても気づかないでしょう?」
「……否定できん。こいつ、十五だって言うのに屏風一枚で行水しやがってた」
「景、そんなことを?」
「あの頃はまだ子供でしたし。左之助さんも胸もお尻も薄い女に欲情しないと思っていたんです」
「確かに、細くて薄かった」
鎌足お義姉様がそこで答えるんですね。
まあ、それだけで何もありませんでしたよ。
「すまない。左之助、どうやら僕の妹は自分の魅力に気づいていないようなんだ。そして、妹を守ってくれて、ありがとう」
まるで私が悪いように聞こえますけど。
私は何もしていませんよね。ただ、行水していただけなのに、ここまで言われるのはおかしすぎます。ほんのちょっとだけ失礼だと思います。