姿お姉様は帰ってしまいました。
このところ急に訪ねてくる人が多く、私の死期を察して訪ねてきてくれるのでしょうか?と、不謹慎にも嬉しく思う自分もいるのです。
それにしても、です。
やっぱり気になるのは私の死後、左之助さん達は平和に暮らしていけるのか。左之助さんはしとりとひとえと仲良く過ごしていけるのかを考えてしまう。
信頼し、信用し、信愛しています。
────けれど。
左之助さんは男の人ですから、女の子のお悩みについて詳しく知りません。薫さんに相談するように伝えるべき、なのでしょうけど。
もう少しだけ先延ばしにします。
「景?」
「……はい、なんですか?」
「いや、ボーッとしてからよ」
「フフ、そういうときもあります」
毎日気を張っていることは出来ませんし、危ない場所に率先して進んでいる訳でもありませんから、大丈夫だと思います。
「左之助さん、手を握りましょう」
「ん?おう」
右手を差し出してくれる左之助さんの大きな手を握り、ゆっくりと彼の腕を頬に添えると、不思議そうに左之助さんは私の事を見つめてきます。
「左之助さん、大好きです」
「オレも大好きだぞ。景」
「お揃いですねえ」
嬉しくて、そう伝えると左之助さんは嬉しそうに笑いながら私の頬を撫でてきました。やっぱり、貴方にあえて幸せでした。
「左之助さん、愛していますよ」
「オレも愛してるぜ、景」
中々に手強いですね。
ですが、私も愛して大好きです。
これからの人生をあなたと一緒に生きていきたかった。ですが、叶わない夢を語るなど無理です。愛しているが故に縛り付けてしまいそうです。
「そういえば知っていますか、左之助さん」
「なんだ?」
「人間は死ぬとき、体重が減るんです」
「……じゃあ、その減った分は魂なのか」
「はい。そうなります」
ただでさえ軽すぎる私が更に軽くなっていたら左之助さんは本当にビックリしてしまいそうで、せめて先に伝えておこうと思います。
それに私は死んでもあの世に行けるかも怪しい。『地獄の鍵』を納める魂の「器」として、そちらに封印され、どこかに向かうかも知れないわけです。
そうなると、ちょっとだけ大変です。
「景はどこにも行かないよな?」
「おばけだぞー、と取り憑くんですか?」
思わず、クスクスと笑う。
私がオバケに生まれ変わっても危険な出来事は減りませんし、むしろ妖怪側の主張は激しさを増し、とても大変な事になってしまいそうです。
「捕まえてやるよ、そんときはな」
「フフ、そうしたらまた一緒ですね」