一色景。
「うしおととら」の熱狂的な愛読者のようですが、自己投影したキャラクターを加えて、出版社にやって来るという事をしていました。
流石にダメだと注意を促して、原稿は持って帰って貰ったものの。あの興奮した眼差しの理由は不明。怒っていたのでしょうか?
「左之助さん、一色という方に知り合いは?」
「糸色の知り合いか?」
「いえ、熱狂的な愛読者です」
「じゃあ、オレは知らねえな」
そう言うと左之助さんは蒙古の交易船に乗っていた香辛料を飲んで悶える明日郎君の頭をベシンと叩き、摘まみ食いはダメだと注意していました。
いつも家で左之助さんはしてますよね。
────ですが、あの一色景の考えは全く分かりません。私に成り代わったところで手に入るものなんて微々たるものです。
まだ、左之助さんのほうが利益的に良い。
確かに全国的に有名になっているとは思うけれど。やっぱり怪しいものは怪しいですね。
「景、しとりがいないぞ」
「しとりでしたらイギリスの交易船に近付いて旭さんと一緒に貴金属の審査をしていますよ。ひとえ、あなたは一緒に行かなくて良かったんですか?」
「あい!」
木箱に座って何処かに向かっていくひとえは手を振っています。が、別の木箱に座って戻って来ました。ひとえはまだ軽いから何も言われませんね。
私だったら何を言われることやら。
「……一色景、こいつか?」
「名前は同じですね。交易の品は顔料、絵画用の顔料だけではなく風景画の顔料もありますね」
やはり
そういうところは真似していない。
いえ、アシスタントを雇っていないのに、私の描き方を真似ろというほうが悪いですね。左之助さんの春画を描いているとき、色合いも気になります。
「(お髭のある左之助さん、今時の女学生にも人気なんですよね。一枚五円で買われる夫の春画に、妻は悩ましく思います)」
それだけカッコいいというわけですけど。
「ん!ピカピカの剣あった!!」
「イギリスの黄金の剣」
あれは、カリバーンでしょうか?
いえ、流石にあり得ませんね。
「(鹿児島行きの船……安居院さん、ですね)」
と、なるとアレは黄金剣ということになりますね。まさか、本当に聖剣戦争を始めるつもりではありませんよね、幻想虎徹。
流石に止めてほしい。
あんなものが起こったら、とても危険で大変で恐ろしいことになってしまいます。それだけは絶対に避けてほしいのです。