某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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似てるけど、変わり者 破

ウィリアム・ヘンリーによる裏切りを受け、私達は一日も出立が遅れてしまった。

 

ペチペチと御者席に居る左之助さんの頭を、しとりを抱っこしたまま幌馬車の中から叩きつつ、いつの間にか逃げていたウィリアム・ヘンリーと先に行ったビュー・バンズ達を追いかける。

 

しとりが起きなかったから良かったけど。いや、良くは無くないんですけど、あんなことをされたら……いやいや、こんなことを今考えるのはやめよう。

 

「左之助さん、本当に変な関係じゃないです」

 

「分かってるって、蝶野の知り合いなんだろ?」

 

そう言って笑う左之助さん。しかし、にっこりと笑っているのに目付きは喧嘩屋斬左のときによく見せる眼光に変わっている。

 

まだ、よく知らないけど。ウィリアム・ヘンリー、ちょっとだけ貴方に左之助さんの憂さ晴らしを耐えて貰うことになるわね。

 

「漸く追い付いたぜ…!」

 

「歩きなんですね、三人とも」

 

ビュー・バンズ、ウィル・ジョンストン、そして左之助さんが睨み付けるウィリアム・ヘンリーが視界に映り、左之助さんは嬉々として幌馬車の速度を上げる。

 

しとりを布団やシーツを詰めた眠り籠に乗せ、キョトンと私を見上げる彼女に微笑みを向ける。よし、もしもの時にしとりを守る準備は出来た。

 

「止まれ、そこの金髪野郎ォ!!」

 

「「ん?ああ、コイツか」」

 

お互いに怒鳴られた相手を決めつける二人の声が聞こえたと思ったら、今度はウィリアム・ヘンリーの「HAHAHAHA!!!!ソーリーソーリー!本当に悪気はなかったんだ、蝶々のおじさんに言われただけなのさ!」と高笑いしながら謝る声が聞こえてきた。

 

こっそりと外を覗けば、襟首を捕まれながら笑うウィリアム・ヘンリーと左之助さんに飛び付いて殴るのを阻止しようとするビュー・バンズとウィル・ジョンストンが見え、なんだか大変な事になっているように思える。

 

「(そもそもドクトルは彼と私を引き合わせることで何をしようとしているのかしら。それは既にホムンクルスに変態したドクトルにとって重要な事なのか……)」

 

しとりの眠り籠を揺らしながら考える。

 

ドクトル・バタフライの武装錬金はチャフ。原作に登場するドクター・バタフライの発動した武装錬金と同じ、応用性の高さはあるけど、強い能力ではない。

 

何かを見ようとしているのは確かなんだけど。

 

「景、此方に来てくれ」

 

「えっ、あ、はい!」

 

幌馬車の後ろ側へとしとりと移動して、階段を使って地面に降りて、左之助さん達が居た場所に視線を向けると気絶した三人が地面に倒れていた。

 

「……さ、左之助さん?」

 

余りにも予想外……いや、予想できていた光景に苦笑しながら近づき、白目を剥いている三人に「おー!おー!」と騒ぐしとりにも左之助さんの遺伝を感じる。

 

「荷台に乗せます?」

 

「……まあ、追い剥ぎもいるしな」

 

渋々と左之助さんは三人を荷台に乗せ、私としとりは御者席に座ることになった。そこそこ大きな幌馬車だけど、六人になると手狭になるので、左之助さんの隣に座るのは仕方ないですよね♪︎

 

 




「武装錬金」の投稿は第二部の完結後にする予定です。
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