私の偽物、意外と似てないです。
「「うすっ、ほっそぉ…」」
私の経歴を知っている故、ふくよかで大きな人だと想像していたのか。ちょっとだけ傷付く事を言ってきた彼女達にショックを受ける。
ただ、気になるのは男性です。
「私、女と公言しているんですけど」
「糸色景が女なわけないだろ。あんなに素晴らしい才能を持っているのは男に違いない。偽物が、さっさと本物を連れてこい」
男尊女卑の思考なのでしょうか?と悩みつつ、文明開化を経て尚も残る根強さに苦笑を浮かべながら、斎藤一を見ると「ソイツは牢屋にブチ込んでおく」と言われてしまいました。
いえ、嬉しくはありますけど。
流石に牢屋は危ないですよ?
危ない……じゃないですね、まだ早いです。
「阿呆が。糸色は女だ」
「うそだ!」
「糸色、コイツはダメだ。牢屋行きだ」
そう言うと他の警察官に指示を送り、牢屋に連れていかれる男の人を見送り、私はまだまだ残っている糸色騙りの人達を見つめます。
「えと、私の名前を騙るのは止めて欲しいです。糸色家はとても大きな名家なので、下手に騒いでしまうと身代金目当ての誘拐に遭いますし、悪い人に襲われるかもしれません」
現に私は四回ほど誘拐されています。
そう伝えると顔色を悪くして、自分の本名を素直に話し始める彼女達に、ほうっと安堵の吐息をこぼす。でも、斎藤一の目付きは怖いです。
「やはり、お前は黒幕だな。少し喋っただけで相手に名前を言わせ、居場所を掴み取った」
「黒幕じゃないですよっ」
いったい、私の何処にフィクサーとしてのイメージを持っていると思わせるのか。常々悩んでいましたけど、未だに分かりません。
「あ、あの、糸色先生」
「はい、なんですか?」
「……先生が死ぬ、と、聞いたんですけど」
「(だれに、と聞いても分からないですよね。でも、可能性が一番高いのは奈落です。私の遺骨と墓土を使って人形を作ろうとしているのかも知れません)」
しかし、どうしても分からないこともある。
「そう、ですね。死ぬかも知れませんね、だからこそ私の名前を騙るのを止めて欲しいんです。狙われてしまったら、もうおしまいです」
少し、強めに言ってしまい、私の名前を騙った彼女達の顔色はすごく悪くなり、とても何かを言える雰囲気ではありませんね。
あとで話して上げたほうが良いのでは?と悩みつつ、私は左之助さんのお迎えを待つために移動し、警察署の待合室の椅子に座り、白紙の本を開いて、待ちます。
「……気になっていたが、なぜ白紙なんだ」
「こちらのほうが読みやすいんです」