奈落の襲来を左之助さんに伝えたら、お尻を叩かれてしまいました。本気で叩いていないのは知っていますが、着物を捲るのはダメだと言いたかったです。
まだ、お尻が痛いです、ぐすんっ。
「ん!母様、大丈夫?」
「母はもう大丈夫ですよぉ」
うつ伏せのまま、そうしとりに答える。
身体の小さくて弱い私はダメージを受けると、このようになるんですね、もう二度としません。でも、そういうことを宣言すると、また起こりそうです。
「(お尻が、痛いです)」
「ここ?」
「ひぃんっ!?」
「ん、ごめんね?」
無邪気なしとりのソフトタッチでヒリヒリと痛いお尻が悲鳴を上げてしまう。ぜ、絶対腫れてます、腫れ上がって五倍ぐらいお尻が大きくなってます。
「……ん!」
「ひあっ!?な、なんで叩いたんですか?!」
「? お尻痛いから?」
「そ、そうですけど、しとり?」
こ、子供にお尻を叩かれてしまうなんて恥ずかしいです。うぅっ、全部左之助さんのせいで、は、ありませんけど。お尻が痛いのは左之助さんのせいです!
「ん!ん!ん!」
「ひぃんっ、いじめっ子の顔になぃうっ?!」
「ん!」
「うぅ、母はクソザコナメクジなんです、体力もないですし、身体も弱いから押されると弱いので、ひどいことはやめてください」
「?」
不思議そうに私を見つめるしとり。
枕を抱えて、部屋に入ってきたひとえは眠そうにアクビをし、私の真横に寝転び始めてしまい、しとりも手を出せなくなりました。
「ん、残念」
「しとりはいたずらっ子です」
「ん?ん!わたしはいたずらっ子!」
「誇っちゃダメですよお?お母さんだからしても大丈夫ですけど、他の人にいたずらしてはいけません。剣路君にもです」
「けんちゃんも?」
「そうです」
ゆっくりと身体を起こして、しとりの頭を優しく撫でてあげながら告げます。まだ子供ですけど、剣路君も男の子ですから筋力の差は少しだけあります。
「良いですか、しとり。貴女は可愛いんです、可愛い女の子にいたずらされたら男の子はビックリしてしまうんです」
「そーなの?」
「そうなんです。だから、剣路君に抱き着いたり、顔をくっ付けたりするのはダメです。いえ、しても構いませんが、節度を守りましょう」
「ん!」
まあ、節度を守りましょうと言いましたけど。
父親の左之助さんが、気が付けば私に抱き着いていたりキスしていたりと押し倒したりと色々としていますから、あまり強くは言えません。
左之助さん、あなたのスキンシップの多さで娘達は無自覚に男の子を狂わせています。