「糸色景改造計画?」
ドクトル・バタフライの研究所の実験室を借りて、「キテレツ大百科」の発明品を作っているとき、ふと机の上に置かれていた資料の名前に首を傾げる。
何故、改造計画を?と困惑する私はガチャリと実験室の唯一とも言える出入り口の鍵を締める音に、ビクリと肩を跳ね上げて、恐る恐る、ゆっくりと私は後ろに振り返ります。
「ど、ドクトル?」
「なにかな?糸色君」
「冗談ですよね?」
「私は常々君の容態を按じているし、君の幸せを願っている。───だがね。糸色君、君は私の予想を裏切るように延々と延命を断っているわけだ」
「で、ですから、身体が受け付けなくて」
そう言って後退りながら逃げ道を探すように思考を巡らせ、ドクトル・バタフライの事を見上げ、彼の目を見つめてしまう。
「わ、私をどうする気ですか?」
「もはや我慢の限界は越えた。今日、この場で君の事をホムンクルスにしよう」
ゆっくりとフラスコを取り出したドクトル・バタフライに身体を強張らせ、人で無くなるかも知れないという恐怖に私は身体を震わせてしまいます。
「────と、言うのは冗談だよ。この資料は糸色景改造計画と銘打っているが、その内容は君の身体を維持する四つ目の核鉄の製作だった」
「......ほんとうですか?」
「本当だとも。私は君にウソを吐いたりしたことはないだろう?」
「それは、そうですけど」
怖いものは怖いものんです。
いえ、恐ろしかったです。
「二度としないでくださいね?」
「オフコース」
「............本当に分かっていますか?」
「信じてくれないのなら、左之助君の提案していた君を、おっとLadyに話すことではないね」
「(左之助さん、また何か企んでますか?)」
不安より困惑が先に来ます。
左之助さんは優しくて素敵です。ですが、たまに私の想像を超える破廉恥な要求をしてきます。それは、妻として致しますけれど。
ドクトル・バタフライに頼むんです。私に聞くよりドクトル・バタフライに聞いて、破廉恥な要求の限度を知ろうとしているのが丸分かりなんです。
そういうのは、やっぱりダメです。
「ところで、糸色君に聞きたかったのだが座敷牢は使わないのかね?」
「あれはドクトルが作ったんですね」
「うむ、中々の出来映えだっただろう」
「危うく監禁生活でしたよ」
「よく見ると壁にトイレや浴室があるのだが、見えていたかね?」
見えていましたよ、とても怖かったです。
全部、左之助さんに管理されるみたいでした。