「ススハムさん、どうですか?」
「モヂカラって便利よね」
「それは、分かります」
モヂカラは言霊法式にも似ています。
「声を発する」「口に出す」など、言葉に意味を与えて具象化する法式。気合いや威圧なんて呼ばれる事もありますが、言葉で相手を退ける技術ですね。
モヂカラ自体は文字の意味を具象化する能力であり、私の『物語を繋げる能力』と極めて相性の良かったものだけれど。描けば描くほど地球は大変な事になっているようにも思える。
「アタシの蹴りとどっちが強いかしら」
「こ、殺す気なんですか?」
「......軽く蹴っただけで死にそうね」
「そ、そうですよ、死んじゃいますよ」
「それもそうね」
ちょっと残念そうに笑うススハムに頬を引き釣らせ、元々は「月華の剣士」に生まれ変わった人だと思い返し、その気質は格闘ゲーム寄りだと改めて、私も理解しました。
「ススハムさんも超必殺技あるんですか?」
「現実で聞くセリフじゃないわね。あるけど」
やっぱり、あるんですね。
ちょっとだけ気になります。
「蹴り技を主体にしていますし、やはり蹴り?」
「まあ、そうね。けど、使わないわよ」
使われても危ないですよ?と話し合いながら、残りの魚の皮を鞣して乾かす。モヂカラの「乾」の文字によって直ぐに乾いてしまい、更に新しいものを準備する。
「ん!母様、稽古終わった!」
「お帰りなさい、しとり。ひとえは?」
「しんちゃんと一緒だよ!」
「フフ、そうですか」
よしよしと頭を撫でようとした手を止め、自分の手をスンスンと匂う。やっぱり魚臭くなっていますね。いえ、分かっていましたけど。
「お風呂入ってくる!」
「えぇ、気を付けてね?」
「ん!」
「元気溌剌ね。貴女の分も生きそうだわ」
「百歳は生きるそうですよ、しとりとひとえは」
「長生きするわね」
賛さんに聞きました。
わりと130近くまで生きるそうです。しとりもひとえも長生きしてくれて本当に嬉しいと思う反面、看取る事を強いてしまい、申し訳なくなります。
しかし、長生きしてほしいです。
「サンピタラカムイの加護かしら?」
「そうでしょうね」
「アタシ、一升瓶で飲んでるんだけど」
「鬼太郎に出演したら教えて下さいね」
「そういうところ、マジで余裕あるわね」
未来の出来事を少しだけ知っていますし、危険な行為に及んでいないのなら安心できます。ただ、見えるものは時代や人の歩みで変わってしまう。
「ススハムさんは元気に生きて下さいね」
「……やっぱり神酒呑ませるわ」
「え?きゃあっ!?」
「呑みなさい」
「や、やでむぐぅっ」
お酒臭いぃっ……。