「左之助さん、左之助さん」
「どうした?」
「果たし状が届いています」
「オレにか」
今時珍しいとは言いませんが、果たし状を送ってくるというのは中々に古風です。しかも文字の荒さから考えるに、かなり頑張って書いていますね。
左之助さんに恨みというより、自分の実力を試すという考えを感じます。ただ、この鉄の欠片はなんでしょう?と首を傾げてしまう。
私は戦えないけれど。
いったい、どこで何をしていた人が?
「無敵手甲」
戌亥番神?
「あの野郎、三回目の勝負がしてえだと?」
プロレスの三回勝負ですね。
「二回も負けてるだろうが」
左之助さんは強すぎますからね。
うんうんと同意するように頷いていますが、私は一回目の戦いを見ていません。二回目も、見ていません。三回目は北海道で起こった気もするのですけど。
戌亥番神は三回目と言っています。
いえ、書いています。
「景、ちょっと座れ」
「?」
立って果たし状を覗き込んでいたのが悪かったのでしょうか?と首を傾げつつ、ゆっくりと正座して座り直すと腰を掴まれ、左之助さんの胡座の中へと運ばれ、座り直しました。
?
なぜ?
そんなことする必要はなかったと思うんですが。
「目的はお前と無限刃だ。死ぬなんてありもしねえ噂を聞いて、騒いで自分の手元で根こそぎお前の知識を奪おって魂胆だろうな」
「奪うも何もありませんよ?」
知識は奪うものではなく、身につけるものです。
「無限刃に関してもそうですよ。妖刀化してしまったせいで長谷川君以外に触ることは出来ませんし、触っても資格が無いと燃やされますよ?」
「燃やすのか、あいつ」
「燃やします」
「尚更、渡せねえな」
「そうです」
しかし、困りました。
左之助さんに戦おうと喧嘩を挑む人はもういないと安心していたんですけど、流石にこれはもう私が呼び寄せているように思えます。
「(私が離れ……るのは無理ですね)」
「で、景はどう見る」
「多分、決着をつけたいのは事実です。ですが、闇乃武の衰退を抑えたいと願っているというのも事実で、私の知識よりもこの二つの目的が重要です」
「そうか」
私の頭に顎を乗せて考える左之助さん。果たし合いの日時を記した果たし状に目を向けつつ、私は果たし合いの場には向かえないと思う。
動けば人質になりますし、静かに左之助さんの帰りを待っている方が左之助さんも安心して戦えるはずですし、左之助さんも無事に帰ってきます。
「景は来るなよ?」
「分かっています。子供達と待っています」
「おう」