燦々と照りつける日差しの中、左之助さんの操縦する幌馬車の中にいる私達と違って、徒歩を選んだビュー・バンズ達は汗だくで今にも倒れそうになっている。
もう二週間近く意地を張る疲労困憊の二人と涼しげな顔で鼻唄を歌うウィリアム・ヘンリー。あの体力の多さは羨ましく思うけど。
やはり、彼の肉体の強さは異常だ。
万物必壊の極意「二重の極み」を受けた身体は三日と経たずに全快し、今もこうして平然と真昼の荒野を楽しそうに歩いている。
「景、あんまり身を乗り出すな。危ねえぞ」
「あ、ごめんなさい。ありがとう」
「おう。しかし、アイツらも同じ場所を目指しているなんざ知らなかったが、セントルイスを入り口に選んだのも蝶野の考えなのか?」
「さあ、そこまでは……」
ドクトル・バタフライの『統一世界』に生きている
彼の目的は世界を眺めること。永久的に生きるホムンクルスに変態を遂げた理由も私は、そうドクトル・バタフライ本人に聞いている。
───だけど、やっぱり不自然すぎる。
「あっ、倒れた。相楽のアニキ、Help me!!!!」
「バカやってんなァ…あとアニキは止めろ」
やれやれと幌馬車を停めると遠くを進んでいた幌馬車が進路を変えて、此方に向かって来る。不安と恐怖に身体が強張るけど、ゆっくりと深呼吸して、しとりを抱っこしながら幌馬車の積み荷の一つを手に取る。
「だいじょーぶ!?」
「(日本人の女の子?)」
「団長、やっぱり倒れてるよ!」
ワラワラと向こうの幌馬車から出てきた人達の姿に頭の中を整理して熟考し、彼らも「GUN BLAZE WEST」に登場する人物だと思い出す。
それに、彼女はヒロイン兼ライバルでもある。
「彼らは君達の仲間か?」
「少なくとも僕は友人のつもりだけど。相楽のアニキ達はどうなのさ?」
「危なっかしいガキ」
団長の問いに答えたウィリアム・ヘンリーの問いかけに素直に応える左之助さんの度胸に流石だと思いながら、ジッと左之助さんを見つめる団長と呼ばれた白目の巨漢を私は幌馬車から見上げる。
彼は兎に角大きい。
此方に来てからも成長して183cmまで身長の伸びた左之助さんより背丈の大きく筋肉質な身体の団長の視線と手の動きにウィリアム・ヘンリーはヘラヘラと笑う。
「この近くに街がある。そこまで同行しよう」
「ちぇっ」
「阿呆が。誰彼構わずに喧嘩売るな!」
「アダァッ!?」
フッと笑った団長の提案に私は驚いている間に、またウィリアム・ヘンリーがふざけた態度を取ったため、左之助さんの拳骨が彼の頭を叩く。
でも、左之助さんもよく喧嘩してますよね。