ギシリと身体に食い込む縄に吐息が漏れる。
あわや大変なところになるところでした。
あれだけイヤだと言っても許してくれず、座敷牢の有効活用という理不尽すぎるシチュエーションに項垂れ、私は格子越しに左之助さんを見つめるしとりとひとえを見つめます。
「母様、たのしーの?」
「とーさまもはいるの!」
「お母さんは何もしないでほしいんです…」
そう切実に願いながら少しばかり色欲に支配されてしまった左之助さんの逃げるために、こうして座敷牢に立て込もっているのです。
「景、出てこいよ」
「やーです」
「やー!」
「ん!やだって」
「ひとえ、父ちゃんも入れてくれ」
「んー、ねーさまいーい?」
「ん、母様が良いならいいよ」
そう言ってしとりとひとえは私を見ます。
「家庭内別居というやつです。私にいつもいつも酷いこんするだらず」
「だらずぅ?」
「左之助さん、おつくべ。おつんべこ」
「弁が出てるぞ、景」
「えぇーから、かにやかな」
「かにやー?」
「......意地悪して悪かったよ」
「はい、今回は許しますけど。有無を言わさず、押しとおるのは止めて下さいね?私だけじゃなくて、しとりとひとえも当たり前だと勘違いしてしまいますから」
「それはダメだ」
「そうでしょう、そうでしょう」
私の言葉に納得する左之助さんに私も満足していますが、座敷牢の格子には近付きません。しっかりと「ごめんなさい」と言ってほしいのです。
「ぐざるのはやですからね」
「ねーさま、わかる?」
「ん!分からない」
まあ、しとりはアメリカ生まれの日本育ち。ひとえは北海道で生まれましたからね。よくよく考えると私が死にかけているのって環境も関わってきますね。
いえ、いい人ばかりではありましたけど。
「ん、大丈夫?」
「大丈夫ですよぉ」
「母様は嘘が下手。ひーちゃん、ごー」
「あい!」
「あああぁぁぁ......」
「父ちゃんも混ぜてくれ」
ひとえに押し倒されて、モフモフとした髪の毛が顔に掛かるのも気にせず、ひとえは私に抱き付いています。ミシミシと骨の軋む音が聴こえてきそうです。
ですが、受け止めます。
私はお母さんですからね。
「あ、折れそうです」
「あばらか?」
「いえ、背骨が」
「ひーちゃん、ばんざい!」
「あい!」
しとりの言葉にひとえは元気良く万歳すると、しとりに抱き締めてもらえた事を喜んでいます。やっぱり、姉妹仲は良好ですね。
とても素敵なことです。
「死ぬかと思いました」
「死にかけているろうが!ここ、開けろ!」
痛くて、動けません……ぐすんっ。