「んッ、ひぐっ…」
私が疑ってしまった謝罪として。
一週間ほど左之助さんの
トントンと野菜を切る旅、振動が腰に響いて痛み。座りたくても腰を曲げるときに痛みを感じ、ギクシャクと関節の節々に錘を付けたような気だるさを感じながら、私は料理の間に出来た料理を置いていく。
「……左之助さん、ニヤニヤしないでください」
「ニヤニヤなんてしてないぞ。腰が痛いなら労ろうと待ち構えているだけだ」
「......左之助さんは、助平ですっ」
「男はみんな助平だ」
あっさりと言ってのける左之助さんに何とも言えない気持ちになりました。いえ、イヤなわけではないんですけれど。
恥ずかしさにダメだと思ってしまうのです。
「しかし、景も頑張ってくれた」
「子供が聞いてるかも知れないので、そろそろ話題を変えてほしいです」
私がそう言うと左之助さんは少しだけ残念そうにしながらも頷いてくれました。───ですが、あまり信用は出来ません。
今、左之助さんはお酒を飲んでいます。
私はサンピタラカムイ様の神酒以外のお酒は飲みませんし。左之助さんの晩酌も白湯や梅干しと生姜のお湯を飲んでいたりするばかりです。
「そういえば景に聞きたいことがあったんだよ」
「聞きたいこと、何でしょうか?」
「この材料って何だ?」
赤らんだ顔で左之助さんが取り出したのは私の「黒歴史ノート」でした。三冊目が消えたと思ったら、左之助さんが持っていたんですね。
───というより、どうやって?
「景、答えてくれるよな?」
「...そちらは斎藤さん経由で山県卿に頼まれた蒸気船の設計図です。海外の蒸気船に負けない大きな船が必要だと力説されましたし、帆船の製作許可もお父様が貰ってきてしまいまして」
「断るに断れなかったわけか」
「ごめんなさい」
ですが、まだセーフだと思います。
未来の日本に存在する蒸気船の設計図ですし、早々に兵器に転用できるものではありません。ちょっとだけ、いえ、かなり、ものすごく不安ですけど。
「船の設計図なのか、これ?」
「そうですよ?流石に兵器に転用できる箇所は書いていませんし、作るにしてもコストを掛けるのはダメです。それなら海上最速の船を設計した方が簡単です」
もっとも、陸軍と海軍の確執を私の力でどうこう出来るほど優れたものは作れません。個人だけで作れても精々駆逐艦くらいでしょうか?