しとりの身体とひとえの身体に其々『三つ』の奥義を移し、残る『地獄の鋼〝武頼針〟』は私の身体に収まっている状態で残しています。
姉妹の性格を考えると刀剣に関する能力は見たいと思ってしまいますし。なによりこの「地獄の鋼」に関して、私は継承方式ではなく隔世遺伝にする予定です。
武頼針。
地獄の炎〝獄炎乱舞〟に匹敵し得るゲゲゲの鬼太郎の使用した二種類の奥義のひとつ。人のまま使えば肉体はその強さに耐えることは出来ません。
しかし、しとりとひとえは試してしまう。
子供とはそういうものです。
どんなことだって試してしまう。それはとても素晴らしく素敵な才能ですが、しとりだと刀に対する興味だけで武頼針を使うかも知れません。
「がおー!」
「んにゃあー!」
「ひゃあっ!?び、びっくりし、た…」
ウンウンと唸って書斎と廊下を隔てる襖を開けた瞬間、目の前に現れたしとりとひとえの抱き着き攻撃にビックリして、その場にへたり込み、心臓を押さえる。
ドクンドクンと早鐘を打つ心臓を落ち着かせるために、ゆっすりと深呼吸していると、ひとえが顔に張り付いてきました。
子供体温とシャンプーの匂いがします。
私は癖毛なので髪を伸ばせないので、しとりとひとえの髪質が左之助さんに似てくれて。本当に良かったと思います。が、ちょっとだけ重たいです。
「母様、油断してばっかり。わたしとひーちゃんで威かすのも気付かなかった。よわよわなの?」
「よわよわ」
しとりまで私の事をクソザコナメクジだって言うんですねとショックを受けつつ、事実なので否定することも出来ず、よしよしと二人の頭を優しく撫でてあげることしか出来ませんでした。
「しとり、お母さんは怖いのが苦手なので驚かせるのはやめてほしいです。その、もうちょっとだけ可愛い感じのものが…」
「わたしとひーちゃんはかわいいよ!」
「あい!そーきゅーと!」
「あ、私の口癖ですね」
フフ、可愛いです、ソーキュートです♪︎
二人の事を見つめていると、書斎の襖を更に開けて左之助さんが部屋に入ってきました。若干、煤けているようにも見えますが、なにかあったなのでしょうか。
「景、玄関に炸裂弾置いたか?」
「いえ……炸裂弾?」
月岡津南の作った炸裂弾でしょうか?と考えるものの。我が家の玄関に仕掛けていたということは、結界を越えることの出来る人間か妖怪ですけど。
「失礼しますね、左之助さん」
「ん?おう」
左之助さんに近付いて、スンスンと鼻を鳴らす。
火薬は火薬でも花火の火薬ですね。
忍者、花火、頭の中でピースが揃う。