「景、最近可笑しくないか?」
「悪口ですか?」
縁側に座ってモグモグとお団子を食べていると、いきなり変な事を言ってきた左之助さんに軽く首を傾げつつ、彼の事を見つめると口許を隠していました。
「なに饅頭なんだよ、これ」
「枝豆です。あと、ずんだ餅とも言いますね」
お饅頭というよりお餅です。
「オレの晩酌がこんな風に変わるのか。すげえな」
「きりたんぽもありますよ」
パチパチと縁側の外、庭先に置いている七輪に乗った麺棒に巻いたきりたんぽの焼けるお味噌の香ばしい臭いに左之助さんは「酒が飲みたくなるな」と呟く。
呑兵衛さんになっちゃダメです。
「お団子!」
「しとり?」
ヌンとしとりが屋根の縁から見下ろすように現れたことに驚きながら、くるりと身体を翻して着地する彼女の軽やかさにパチパチと拍手してしまう。
「猿みてえだな」
「おサルさんじゃないよ!しとりだよ!」
「左之助さん、女の子にお前は猿だなんて言っちゃダメだと思います」
「お、おう、すまん。いや、ごめん」
ものすごく怒るしとりと、流石に注意する私の二人にビックリしたものの。左之助さんは素直に謝ってくれました。ただ、なぜか私の腰やお尻に手を当てています。
「あの、当たってますよ?」
「ん?ああ、近くにあったからよ」
「(セクハラ……いえ、夫婦なのでスキンシップということになるのでしょうか?)」
思わず、悩んでしまう。
「左之助さん?」
「どうした?」
「なぜ、お尻を撫でるんですか?」
「気にするな」
気になってしまうんですが?と言いたい気持ちを押さえながら、左之助さんに身体を預け、少しだけ正座を崩して、きりたんぽを見つめるしとりを見遣る。
屋根に触っていたら手が汚れている可能性もあるので庭にある井戸に向かい、桶を用意し、しっかりと手を洗い、石鹸を使って丁寧に洗います。
桶は天日干しです。
「そろそろ焼けますし、ひとえも呼びましょうか」
「ひーちゃーん!」
「あい!」
ひょこっとドンの頭から小さなひとえが現れ、ガリバートンネルを使っていた事実に困惑します。いえ、どうやって使ったのでしょうか。
「し、しとり、私の書斎から入りましたか?」
「ん!図書館の奥にあった!」
どうやらひみつ道具を保管する部屋もバレてしまっていたようです。そして、ドンには暴れずに移動用の足になってくれたお礼を伝える。
今日はみんなにもお魚を奮発しますね。
あとで、もうちょっと隠さないとです。
それにしても、どうやって見つけたのでしょうか?私は場所を覚えていますが、そう簡単にあの広大な図書館を調べることは難しいはずなんですけど。