それからリトルサーカスと夜営することになり、備蓄のパンや干し肉、ドライフルーツを分けていき、こんなこともあろうかと作っていた金網を焚き火の上にセットし、買っておいたお肉を焼く。
「ステーキ!」
「止めろ。はしたないぞ」
二人のやり取りを見ていると明神君と塚山君の事を思い出して、なんだか楽しい気持ちになる。塩だけじゃなく、香味を使って味付けして、香ばしい匂いが私達の鼻腔を擽って食欲を掻き立てる。
……まあ、私はお肉が得意じゃないから少しだけで良いですけど。般若達に無理やりお肉をお椀に入れられたときは、本当に死ぬかと思った。
今更になって思うけど。
私って死線の近くに居すぎなのでは?等と知りたくもなかった事実に気付いたものの。まあ、左之助さんがいるので大丈夫だろうと意識を切り替え、ステーキを一人ずつ切り分けていく。
「Thank You。ネエサン」
「そう思うなら、手伝いなさい」
「無駄飯食らいは許さねえぞ」
「HAHAHAHA!!!働くなら
そう言ってヘラヘラと笑うウィリアム・ヘンリーに溜め息を吐きつつ、他のみんなにも野菜を添えたステーキを送り、しっかりと全員に渡る。
しとりも欲しそうにしてるけど、ダメです。
「しとりはまだダメですよぉ?」
「むう、やっ!」
プリプリと怒るしとりの可愛さに頬擦りしてしまいそうになる。脂身の少ないニワトリのささみを解した離乳食としてならあげても良いんだけど。
「しとり、ほらよ」
「…んむ…まっ!」
左之助さんが差し出すスプーンに乗っていた豆煮込みのスープを冷ましたものをしとりに食べさせてあげた瞬間、いやいやと怒っていた筈のしとりが、頬っぺたを押さえて笑顔になる。
すごく、とっても可愛いわね。
「『GUN BLAZE WEST』にオレは行く!助けてくれたのは感謝してる!でも指図される謂れはねえ!!」
私達のやり取りを見ていたウィリアム・ヘンリーは微笑ましそうに見つめていたそのとき、ビュー・バンズの怒鳴る声が聴こえてきた。
いよいよ「コンセントレーション・ワン」を覚える事になるのね。原理としては意図的・任意的に行える超越感覚のゾーン状態に近く、集中力を研ぎ澄ます程に性能を増すという技術だ。
ある種のマインド・コントロールとも言える技術だけど。極めれば相手の動きを刹那にも等しい一瞬で察知し、防御や攻撃を行える。
「へぇ、良い拳してるじゃねえか」
「君も『GUN BLAZE WEST』を目指しているのか」
「アンタとやれんなら目指すぜ」
ニヤリと笑う左之助さんに「いや、やめておこう。少なくとも君は彼らと違って強い」と両手を上げ、降参のポーズを取った。