暫くして私の日々は少し落ち着きました。
左之助さんは過保護に磨きを掛けているようにも思えますが、しとりとひとえに心配事を話したり、負担を掛けることはありませんでした。
ほんのちょっとだけ不安です。
私の事は放置して構いませんが、しとりとひとえを守ることだけを考えて下さいね。ただ、少しだけ許して貰えるなら話しますけど。
「しとり、大広間に刀を集めてどうしたんです?」
「ん、わたしの愛刀を決めたい」
そう訊ねたら、鍔鳴りが起こった。
一斉に、二百七本の妖刀霊刀聖刀霊剣魔剣邪剣聖剣の全てがしとりの愛刀になろうと自分の事を主張し、凄まじい鍔鳴りの音が反響している。
「しとり、ここから?」
「ん、十本選び直す」
自信満々に告げるしとりの目は楽しそうで、私も自然と笑顔になります。こんなにも大好きなものがあるのなら悪いことは絶対にしませんね。
「では、お母さんは軽く摘まめるお結びを作ってきますね。ひとえ、勝手に触ろうとしちゃダメですよ?お姉ちゃんに聞きましょう」
「あい!ねーさま、さわっていい?」
「ん!危ないのは触っちゃダメだけど。鍔鳴りが小さくて鞘に納まった刀は触っていいよ。母様がすごく心配しちゃうから」
「あい!!」
トタトタと大広間の中を歩いて、吟味し始めるひとえ。しとりはチラチラと妹の様子を確かめつつ、自分の愛刀を決めるために頑張っています。
料理の間に座り、米びつに移しておいた朝御飯のまだほんのりと温かい白米とお結びを乗せるお皿を用意し、手をしっかりと洗って綺麗な水で手を濡らす前に、お結びの具材を用意する。
手のひらに軽く塩を塗り、杓文字でお米を手のひらに装い、軽く形を形成したら、梅干しを入れ、三角形に形を整えていく。
「ん、これ昆布だな」
「あ、左之助さん。ちゃんと、いただきますって言わないとダメですよ?」
「おう。いただきます」
私の手で作ったお結びは左之助さんからすると非常に小さく一口でお結びが消える。もうちょっとだけ手が大きかったら良いんですけど。
「しとりとひとえのか」
「左之助さんの分もありますよ」
「へえ、どれがオレのだ?」
「フフ、出来上がるまで待ってくださいね」
左之助さんと話しながらお結びを握り、梅干しとおかか、焼き鮭、昆布と色々な具材を籠めたお結びを大皿に乗せて、手を洗って運びます。
重いですけど、持てない重さではありません。
「二人ともお結びが出来ましたよ」
「ん!」
「あい!」
「飛び付くなー?」
私に抱き着こうとする姉妹を抱き上げ、左之助さんは自分のお膝の上に二人を乗せます。しとりの年齢的にはもう反抗期の可能性もあるのに、不思議です。