謎のドラゴンソードに怒る蛮竜の放つ無差別放電を無視できるほど私の身体は強くないので、庭先に簡易的な居住区を作り、ガリバートンネルを使い、小さな身体で庭先を移動します。
「蟻!ドン、ばっとおぉーーーがっ!!」
黒アリに対抗するドンの変異抜刀牙を眺め、消毒液と蟻の体液の放つフェロモンを阻害する薬液を散布し、安全地帯を確保する最中、左之助さんはまだ蛮竜とドラゴンソードに纏わり付かれていました。
「ひとえの懐剣は今日も健在ですね」
「あい!」
小さな身体で庭先を駆け回っているしとりとひとえを見下ろし、番傘を開いて日陰を作ってあげ、危険な動物や虫を退ける「壁」のモヂカラをミニチュアハウスの周りに展開する。
とても可愛くて、ステキな親指姫様達です。
「景、コイツらどうにかしてくれ」
「どうにかと言われましても、私は目利きは出来ても武器の扱いは不得手ですし。蛮竜は左之助さんの相棒ですから左之助さんの言葉に従いますよ?」
あとは、ドラゴンソードを遠くに置いて、自分はもう触らないと伝えるのが一番ですね。私の個人的な感想になりますけど、左之助さんは乙女の執着心を少しだけ侮っていますね。
しかし、それは言いません。
知ったかぶりはダメな事です。
「んにゃああぁーーーーーー!!!」
ひとえの声に気付き、下を見るとスネコスリの親分の背中に乗り、ミニチュアハウスの周りをグルグルと駆け回っているひとえが見えた。
ひとえが楽しそうで、お母さんも嬉しいです。
「左之助さん、もうドラゴンソード的なそれをしとりに返して……いえ、今はお返しするのはダメですね。もうちょっとだけ我慢してもらえますか?」
「そういや、そうか」
私の言葉に納得する左之助さん。
やっぱり、そこには気付いていなかったんですね。いえ、そうなるとは思っていましたから、問題は返したあとのことです。
ドラゴンソード。しとりに使えるのか、それとも使われることを拒否して、より危険な事を選ぶのかと少しだけ悩んでしまいます。
「景もよく気付いたな」
「いえ、左之助さんがずっと抱えたまま動くので色々と考えてしまっていただけですね。そういうものは焦ると見えにくくなってしまいますから」
「ん!ん!ん!ん!」
「あらあら、どうしたの?」
私の足元にやって来たしとりを手のひらに乗せてあげ、話を聞こうとしたら、左之助さんがしとりのことを抱き上げ、ドラゴンソードの近くに連れていってしまい、慌ててガリバートンネルを使って貰いました。
あのままだったら、つぶれてしまいます。