ある日のお昼前、家の前に馬車が停まると自信満々な表情を作った美少女が、馬車のドアを開け、宛らディオ・ブランドーのごとく、軽やかにカバンを地面に置き、地面へと着地した。
「しとり、ひとえ、来ましたわよ!」
「ん!さっちゃん、来たね!」
「ねーさま、だれぇ?」
身の丈を越える刀袋を背負った安居院さんに、しとりは何度か会ったことはあるので笑って答える隣で、ひとえは不思議そうに小首を傾げる。
「こんにちは、安居院さん」
「紗那で良いですわよ、景さん。今日は素敵な出会いが会ったからご報告に来たのよ!」
「さっちゃんその刀、なに?」
「オホホホ、伝説の聖剣、黄金剣ですわ!」
「黄金剣…?」
ああ、やっぱり、安居院さんが選ばれたんですね。まあ、彼女のように感情の昂りやすい人間はそう簡単にいるとは思えませんし、善き遣い手に巡り合えることが出来た黄金剣に微笑みを向ける。
「ん!」
「金ぴか!」
「フフン、しとりが鳳凰天舞の遣い手になったって聞いたときはまさかと思ったけど。やっぱり、私と貴女は宿命のライバルなのですわ!!」
「かーさま、らいばるってなにぃ?」
「好敵手。自分と渡り合える相手の事です」
「さっちゃんが好敵手?わたしより弱いよ?」
「それは、ベジータ方式ですのよ!!」
安居院さんの話すベジータ方式というのは「強敵としての登場」から「更なる強敵と戦うため、共闘する関係」となり、最後は「どちらが上なのかを雌雄を決する相手」ということです。
左之助さんで言えば緋村剣心です。
「ひーもいるの?らいばる?」
「うーん、どうでしょうか?」
「オホホホ、何を言っていますの。ひとえ、貴女も私のライバルですわ!相楽姉妹はどちらも倒し、真の淑女になってみせますわ!!」
「薔薇と椿ですか?」
「言い得て妙ですわね。安居院家の淑女として数多の淑女をおビンタで倒してみせますわ」
わりとアクティブなお嬢様になりましたね。鯉登少尉の生誕に喜んでいるのでしょうが、はっちゃけてポジティブすぎるお馬鹿さんになっていますね。
「(しかし、同年代に比肩する相手のいないしとりには最高の相手とも言えます。ですが、安居院さんも最低限の剣術は習っているご様子……)」
「母様、大広間でやっていい?」
「えぇ、構いませんよ」
「畳の上ね、投げて打ったら痛いわよ?」
「ん!柔道はけんちゃんが鼻血だすから、そんなに練習してない!」
「あらやだ、おませさん?」
あ、あはは、どうこたえるべきなんでしょうね。