「不覚ですわ。伏角ですわ」
「ふっかく?」
「ご機嫌斜めということですね」
「くっ。男の機微に疎いのに、なぜ!」
男の機微に疎い。
そう言われてしまうと何も言い返せないので、何とも言えませんけれど。悪いことしているわけではありませんし、置いておきましょう。
「しかし、童話や御伽噺を大量に集めていますわね。景さん、まさか
「
「……マジぃ?」
私は改変後と改変前の記憶を持っていますし。
そもそも私は「前世の記憶の保持」のおかげで幻術や催眠術、改変能力など事象改変系統の能力は受け付けないわけで、言わば「戦えない世界史」です。
「まあ、宝の持ち腐れですけど」
「ん!母様はわたしの宝物だよ!」
「ひーのだもん!」
「あらあら」
「……お母様に逢いたくなるわね。くっ」
ぐいぐいと左右から引かれることに嬉しくなりながら、しとりとひとえの事を見つめていると、安居院さんがムッとした顔を作り、とても可愛らしく感じる。
それにしても「月光条例」は今も尚、起こっているということは、いずれやって来るわけです。そのときは「サクシャ」という扱いになるのでしょうか?
「で、景さん」
「なんですか?」
「貴女は介入しないの?」
「……この時代の月光条例は違います。もし、組み合えばチルチルを酷く悲しませてしまう。私に出来るのは、見守ることだけです」
そう言うと安居院さんは不満そうに「見えるのに見過ご……いや、景さんの体力であんな派手なバトル漫画に介入したら木っ端微塵になりますわね」と納得してくれました。
「オホホホ、それに景さんがいればしとりとひとえは更なる強さを得ますし、私にとっては願ったり叶ったりもないですわ」
「さっちゃん、弱いから張り合いないよ?」
「クッ、私が勝つまでやりますわよ!」
「ん、千年先までだって負けない」
にっこりと微笑みを浮かべ、しとりは笑う。
流石はしとりです。
私に勝とうなんて千年早い。
そう堂々と言える人は中々に居ませんよ。
いえ、それよりも気になるのはひとえです。
紫煌剣を持っているのに、自分だけ仲間はずれにされているのが不満で、プクーッと頬っぺたを膨らませてすごく怒っています。
とても可愛いです、ソーキュートです。
「さっちゃんもねーさまも倒す!」
「「じゃあ、掛かっておいで」」
「あい!!」
あらあら、どうしましょう?