ひとえは散歩する度、変なモノや変な人、変な妖怪を引き連れて帰ってきます。昔のしとりもそうでしたが、今はひとえのほうが頻度は多いですね。
妖怪はまだ良いんです。
ドクトル・バタフライにお願いして対処できる範囲で対応しているわけですし。ただ、困るのは「スーパー戦隊」に登場する怪人や戦闘員達で、たまに家出した彼らを匿うこともある。
優しいのは美徳ですけれど。
たまにラスボス級の相手をワンちゃんのように拾って帰ってくるときもあるので悩みます、かなり戸惑ってしまうこともあります。
「あい!ひーちゃんのおうちだよ!」
「ズン!ズン!」
トタトタと廊下を歩くひとえの後ろを着いて歩く金色のヒューマノイドめいた存在に目を白黒させ、眼鏡のレンズを拭いて二度見する。
どこからどう見ても聖剣レムリアでした。
「なぜ、秘境の山中に鎮座していた聖剣レムリアがひとえと一緒に?」
そう呟きながら廊下を覗くと「ずんちゃんは此処ね!」と言われ、一緒に廊下の先にあるひとえとしとりのお部屋に聖剣レムリアは座る。
よく見ると床は汚れておらず、地上を踏まないように配慮し、僅かに浮遊して移動しているという謎の技巧に感心しつつ、ひとえの笑顔を受けて、エネルギー補給を続けている聖剣レムリアに苦笑を浮かべる。
「ずんちゃんは、かーさまに会ったらちゃんと挨拶するんだよ?」
「ズン!」
「はじめまして!」
「ズン!」
「ぼくはせいけんレムリアです!」
「ズババーン!」
「あい!ジョーズだよ!」
いったい、ひとえには何が聞こえているのでしょうか?と困惑しつつ、私はひとえに僕っ娘という属性の追加を一瞬だけ垣間見てしまいました。
アレはすごい破壊力ですね。
────いえ、それよりもです。
ひとえはどうやって聖剣レムリアを抜いて帰ってきたのかを聞きたい。あわよくば、ひとえのボディーガードも引き受けてほしい。
あんなことしたら、とても大変になる。
「かーさま、ずんちゃんだよ!」
「ズン!」
「あ、初めまして。相楽景と言います」
「ズババーン!」
どうしましょう、全く分かりません。
もう、いっそのこと「翻訳コンニャク」を渡して喋って貰いましょう。そうしてもらえると、私もすごく大助かりするんですけど。
私への挨拶の成功を喜んでいるひとえと聖剣レムリアに何かを伝えるのは無粋に思えてしまい、まともに何かを提案できる状況ではありませんね。
「ん!ただいま!」
「お邪魔します」
しとりと剣路君が帰ってきました。
この状況を打開してください。