翌日、今日も決まって
「お散歩してくる!」
「ズン!」
「お供します!」
聖剣レムリアに嫉妬して、ひとえの散歩に着いていく爆心の鎧を見送りつつ、庭先に出て本戦に向けて鍛練を繰り返すしとりに視線を移す。
まだ、あの感覚を思い出して恥ずかしそうに頬を染める瞬間もありますが、しとりはギャップ萌えにハマってしまっているようですね。
その気持ちは良く分かります。
しかし、「円月剣」の習得を目指すしとりは直ぐにまた意識を切り替えます。「円月剣」。剣の極意は円に在ると知り、その意味を理解するために、しとりは竹刀を振るい、意識を研ぎ澄ます。
「円月剣」の原理の正体を知っていますが、口伝する事は難しく、しとりも聞いて知ろうとは思っておらず、凄まじい集中力を発揮している。
「(円月剣は志那虎陰流の奥伝。しとりは剣術指南書の文章だけで辿り着こうとしている辺り。姿お兄様に似たところを感じます)」
志那虎陰流自体は「リングにかけろ」に登場する流派ですが、その剣術の術理は既にしとりも理解し、あの足捌きと体捌きに如実に出ています。
「ん!!」
「雷光流転剣…いえ、雷鳴三段突き?」
「むう、難しい」
やっぱり、筋肉の発達し切っていないしとりでは五撃に到達するのは難しいようですけど。お母さんは、すでに雷鳴三段突きを使えることにビックリです。
「しとり、休憩しましょう?」
「んーん。まだする」
「フフ、負けたくないんですか?」
「ん、けんちゃんになら負けてもいいけど。本気で戦わないのは悪いことだと思う。それに、けんちゃんになら本気を出したい」
愛の芽吹きですね。
とても可愛いです、ソーキュートです。
「十分に強いですよ?」
「んーん、十分じゃけんちゃんに追い付かれる。わたしは強いけど、けんちゃんも強い。それに、努力した分だけわたしは強くなれる」
バトル漫画の主人公みたいだと感心しつつ、気功法を会得して更なる強さを得てジャンルの垣根を越えてしまいそうなしとりに苦笑を浮かべる。
「わたしはまだまだ強くなれる」
「しとりは、どこを目指しているんですか?」
「ん、宇宙で一番強くなりたい」
わあ、バトル漫画の主人公みたい。
「だから、わたしが勝つところを見るまで死んじゃダメだからね?母様に見てもらうまでわたしは負けない。約束しよ?」
「しとりは優しいですねぇ」
よしよしと優しくしとりの頭を撫でて、ちゃんと指切りして約束をします。見届けるのは、オバケになっても有効でしょうか?