翌日、仕合まで時間のあるのでお昼寝するしとりとひとえの傍に座り、ほうじ茶を飲んでいると左之助さんが徐に右手を上げたかと思えば、いきなり私の頬に手を当てて、つねった。
「ないふるんれふか?」
「いや、昨日の夜に変な気配した気がしてよ。化けてたりしねえかと思ったんだよ」
やっぱり、鋭いですね。
ドクトル・バタフライの訪問の事を簡単に説明すると私の身体をベタベタと触り始める左之助さんに困惑し、彼の事を見遣ると「何もされてねえな」と呟いてきた。
「彼は世帯者ですよ、しませんよ」
「お前は無自覚なだけだ。蝶野のオッサンはかなりお前に入れ込んでやがる」
そういう言い方は宜しくないかと。
「ドクトルはお友達です。お友達に劣情を抱くなんてありませんよ?」
「オレは抱いたが?」
その一言に顔が熱くなる。
どうして、恥ずかしげもなく言えるのかをコンコンと問い詰めたい気持ちはありますけど。左之助さんは、全部本心で喋るので反応に困るんです。
いえ、嫌いではなく大好きですけど。
「……左之助さん、子供が起きてしまいます」
「起こさねえように、な?」
私の手を引いて抱き寄せる左之助さんの言葉に顔を赤く染めながら、接吻を受け入れようとしているとしとりとひとえ、個魔の方の視線を感じました。
「ん、続けていーよ?」
「ちゅー!」
ワクワクする姉妹の声に押され、接吻を強行しようとする左之助さんの口許に手を添えて、ガードしながら「子供が見ているのでダメです」と伝える。
「んんっ…やえふ!」
「父者は強引だな」
それは私も同意です。
というよりやめてほしいです。
子供の前で恥ずかしい。
「っ、いじわるです」
「「おー」」
「二人も感心しちゃだめですっ。男の人は力が強いから油断しちゃダメですからね」
「けんちゃんは弱いよ?」
「しんちゃんもクソザコ!」
「……個魔の方、変な言葉を教えましたか?」
「自分の事クソザコナメクジとか言っている母親の事なら知っているわ」
私のせいでひとえが悪口を…!!
で、ですが、まだ間に合います。
「景はクソザコだから、褥でもオレに勝てねえもんな」
「お、おばかっ、おばかっ」
ペチペチと左之助さんを叩くもケラケラと笑うばかりで反省していない左之助さんにしとりとひとえを仕向け、私よりパワーの勝る姉妹の正拳を左之助さんは受けると良いんです。
ひとえに関しては「超人体質」や「ヘラクレス体質」「ヒュペリオン体質」みたいなものです。
あの柔らかな筋肉の内側は赤白の混ざった純正ピンク色の筋肉であり、左之助さんの鍛え上げたピンク色の筋肉より優れているのです。
やはり、筋肉は素晴らしい。