四乃森蒼紫と戌亥番神の第三仕合は四乃森蒼紫の勝利に終わり。準備と休憩のために観客席を退場する人達を見送り、傷の手当てを受けながら、「ハッハァーッ!!」と叫んで噴血する戌亥番神に恵さんは怒る。
大人しく受けてほしいですよね。
「左之、次はしとり殿と…誰でござるか?」
「オレも聞いたことねえ名前だ。大陸の人間なのは服装で分かるがな」
そう言って緋村剣心と左之助さんの見る先に居るのは笠を被った中華服の男性。あの衣服の紋様は臨獣拳の拳士の証明ですけど。
リンシー、リンリンシー、どちらでしょうか。
おそらく無間龍ロンの差し向けた相手ではなく、日本に渡ってきた七拳聖に対する敵情視察の役目を負った人物なのは分かっています。
問題は、どの獣拳を使うのか。
「しとり、大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫だよ」
しとりは、にこやかに応えてくれる。
ひとえもしとりが負けるとは全く想像していませんが、まだ十四歳の子供が、スーパー戦隊の怪人とまともに戦えるのかと本当に心配になる。
しかし、しとりは逃げない。
───と言うより、自分より強い人間は存在しないと考えている可能性もあるです。まあ、左之助さんや比古先生、明神君のおかげで傲慢になったり、我が儘な女の子になっていませんけど。
「小鳥の囀ずりだな」
「ん、悪口言ってるの?」
扇子を揺らす笠の男の言葉に小首を傾げ、そう聞き返すしとりに私は苦笑を浮かべ、左之助さんを見るとひとえを抱っこして笑っています。
そういうところですよ、もうっ。
「おお、聞こえていたか」
「? おじさん、鳥の臭いがする」
スンスンと鼻を鳴らして、不思議そうに彼の事を見上げたしとりの言葉に扇子を揺らす手を止め、ジッと彼もしとりのことを見下ろす。
「そこまでじゃ」
聞き覚えのある声に振り返った。
二足歩行のフェリス。
激獣拳ビーストアーツ創設者、マスター・シャーフーその人が私達の目の前に現れた事にビックリしながら、どうやって解決しようかと考え込む。
「ネコ!」
「……マスター・シャーフー。あくまで此度のいざこざは仕合前の出来事だ。貴様の出る幕ではない」
こういう事態は想定していません。
「小鳥、お前も今のうちに別れを済ませておけ」
「? おじさん、わたしより弱いのに?」
「お主、子供に威張るのはいかんでござるよ」
「オレの娘に勝てると思ってんのか?」
一斉に臨獣拳の拳士を攻め始めるみんなにオロオロとしてしまい、しとりの口を手で隠すと「ん、インクと墨の匂いがする」と言われ、手を離して嗅いでみます。
……分かりませんね。