東京、神谷道場の看板に懐かしさを感じる。
その隣に立つ商家も寂れることなく手入れをしてくれていたのか。目立った汚れも破損もなくて、すぐにでも住める様な状態だった。
「久しぶ……緋村さん、縮みました?」
「どうなってんだこれ?」
しとりと同じくらいの背丈に縮んだ緋村剣心に困惑する私達に咳払いする神谷さんの指差す方に顔を向けると、苦笑いしながら「いやあ、そんなにそっくりでござるか?」と嬉しそうに笑う緋村剣心がいた。
じゃあ、この子が緋村剣路なのか。
「神谷さん……って呼ぶのも変ですね」
「フフ、そうね。今は緋村薫だから、景さんも名前で呼んでほしいわ」
「じゃあ、改めてお久し振りです。薫さん」
「うん。景さんも久しぶり!」
五年ぶりに会えたお友達に私は嬉しくなり、膝の上に座らせていたしとりを抱き上げる。
「この子は相楽しとり、向こうで産んだ自慢の娘です。ほら、しとりも挨拶できるかな?」
「ん!ちゃっす!」
いつも言葉遣いを注意して綺麗な言葉遣いを教えているのに、どうして?と左之助さんに視線を向けると全力で首を横に振って否定する。
でも、それが逆に怪しい。
ふと、しとりを見つめる緋村剣路の視線に気付き、薫さんと一緒に首を傾げる。……まあ、折角の再会に子供達を巻き込むのはあれですし。
「剣路君、しとりと遊んでくれる?」
そう彼に聞けば照れ臭そうに頷き、隣の部屋にしとりの手を引いて連れていく。なんだか昔の自分を見ているようで、少し気恥ずかしさを感じるわね。
「ケッ、マセガキが」
「おろ。これは剣路の初恋でござるか?」
「え?うそ、そうなの?」
ああ、やっぱりそういう感じなんですね。
左之助さんはブツブツと「オレのしとりと祝言を挙げてえなら最低でもオレに勝つか剣心より強くねえと絶対に許さねえ。いや、そもそも祝言なんて挙げさせるかッ」と馬鹿な事を言っているので頬っぺたを軽く引っ張る。
「まだ子供なんですから見守りましょう?」
「そうよ。折角なんだし、見守ろう?」
私と薫さんの言葉に渋々と頷いてくれた。
「剣心、ウチの娘はやらんぞ」
「おろぉ、それを拙者に言われてもな」
まだ引きずっているのかと思うけど。それだけ左之助さんがしとりを大切に想ってくれて、愛してくれているのだと分かって私も嬉しくなる。
「そういや弥彦は居ねえのか?」
「弥彦なら由太郎と燕殿に告白する権利を賭けて河原で戦っているでござるよ。左之と拙者が初めて戦った、あの河川で」
「へえ、ソイツは面白そうだ」
「見に行くでござるか?」
そう言って楽しそうに笑う二人の話に、私達も釣られて笑ってしまい、しとりと剣路君が見られていることに気付いてしまった。