「青龍の方角。極北の生み出した最強の剣客、刀にて死なず、銃にて傷を負わず、その身は氷河の如く凍てつき、その出で立ち、その相貌は狂喜に染まる。剣客兵器、凍座白也!!」
「奥様は元気だのう。しかし、儂の笑みは狂ったように見えるのか、ひとえ様に泣かれるのも嫌じゃし、直してみるかのう」
ウ~ンと悩みながら顎を擦り、闘技場に入ってきた凍座白也の姿に会場の雰囲気は変わる。彼の放つ存在感は、少し異質ゆえに仕方ありません。
「白虎の方角。政府公認、未だ名を残す大名・志葉家の11代目当主にして、日本各地で起こるアヤカシの問題を解決する殿様!真剣者、志葉誠輔!!」
「殿様ぁーーー!!」
ブンブンと手を振っているのは谷さんですね。
最近、妾を作って血筋を増やそうという家老に「それなら十人産んでやるわ!」と啖呵を切ったそうです。流石は日本を守っている人達ですね。
左之助さんも「十人か」とか呟きながら、私のお腹を撫でてきました。う、産めるには、産めるでしょうけど。十人は流石に無理ですね。
ボンドルド卿のごとく乗り移ってしまえば、問題なく戦えるのかも知れませんが、それはもう私ではありませんよ?
「いざ、尋常に────始めェ!!」
その言葉を皮切りに駆け出した凍座白也を受け止めるようにシンケンマルを肩に担ぎ、ヒラリ、ヒラリ、と紙一重で志葉様は刀を避ける。
「ぬははははっ!!こうも当たらんのは武者修行してきた頃以来かも知れん!!」
「なら、コイツも初めてだろう?」
片手の唐竹割りを放つ凍座白也の刀を切り裂き、志葉様はシンケンマルの切っ先を凍座白也の喉元に突きつけ、ニヤリと笑った。
「斬鉄の技か、それも名刀を斬る太刀筋」
「斎藤さんでも無理ですか?」
「阿呆が。動かなければ俺も斬鉄は出来る。俺が驚いているのは」
「凍座さんの刀を斬った後、手首を打って刀を奪った事ですよね」
「そうだ。あの男、小手先の技だけなら緋村より上手いかもしれんぞ」
斎藤一の言葉に、左之助さんは笑う。
「カカカカッ!!よもや儂が手心を受けるとは、素手になってしまうが続け、ムッ?」
「大」のモヂカラをシンケンマルに与えた志葉様は、その刀をあろうことか凍座白也に差し出して、谷さんのシンケンマルを投げ渡されています。
「使えよ、楽しもうぜ」
「善き哉善き哉。儂は善き剣客と巡り合えたお礼を奥方様にあとで申さねば!!」
それは、ちょっと困ります。
私が強いとか怪しいとか勘違いされます。
ものすごくイヤです。