凍座白也にシンケンマルを渡すという暴挙を起こし、闘技場の中央で切り合う志葉様の考えは謎です。武士道精神というものなのでしょうか。
「ハッハッハッ!良いぞ、白也!」
「カカカカッ!!志葉様もよいぞ!」
お互いを褒めて、切り合うという光景に驚きながらも志葉様も凍座白也も無傷のまま間近でシンケンマルを振るっているのだ。
圧倒的な剣戟の応酬に沸き立つ観客席。
しとりの鮮烈さを上回る志葉様の技巧に感心する。しかし、あくまで「剣士の範疇に留まれば」という言葉を付けたならです
凍座白也の振り抜く掌打を受け、志葉様の身体は大きく後ろに弾ける。圧倒的な技巧をくつがえす一撃、単なる打撃を血流の静止した九十キロを越える体重を叩き込まれてしまえば弾けます。
「どうしたどうした!止まっておるぞ!」
「ハッ、外道衆にはない感覚だな!」
そう言ってまた切り合う。
「火炎の舞い!」
技の名を叫ぶ。
ですが、あくまで仕合、モヂカラの炎を出したりすること───普通に炎を纏わせる志葉様に家老のひとりが「殿おぉぉ!?」と叫んでいた。
えと、御愁傷様です。
「カカカカッ!!噂に聞く炎じゃなあ!!ならば、その炎すらも凍てつかせてやろう!」
シンケンマルを振るって火炎の舞いに飛び込む凍座白也の身体に薄氷が浮かび、志葉様の振るうシンケンマルの柄と手が凍りつく。
「ほんの一年前になるのう。とある寺で出会った無敗無敵無双無欠の巡狂座に氷紋剣を学び……この様な事も出来るようになった!!」
右腕を覆う薄氷を砕き、放つ。
氷紋剣「氷雨」ですね、本当に使えている。
「ビックリ人間大会だね」
「ドクトルが、それを言うんですか?」
私の指摘に「もちろん、言えるとも」と、いつの間にか医療スタッフのブースを抜け出しているドクトル・バタフライの言葉に私は苦笑を浮かべる。
そういうところですよ、本当に。
いや、分かっています。巡狂座の名前がでた瞬間、何人かが私を見ていましたから、おそらく森光蘭の先祖の誰かが放った刺客ですね。
狙いは、不老不死────。
不老不死になったところで待っているのは孤独です。だからドクトル・バタフライも自分と同じ転生者を探して、お友達になっているんです。
それなのに、どうして自分だけが永遠に生きようと思えるのでしょうか。私には、よく分かりませんし。分かりたくもないですね。
ラスボスの矜持も見当たりませんし。まだ、武田さんのほうがボスとしてのプライドは高いですし、それなのにひどいですよ。