「氷紋剣、氷雨!!」
投てき用の技を鍔迫り合いの最中に放つという驚異的な技を披露する凍座白也の身体に押され、後ろにのけ反る志葉様の姿を鏡越しにドウコクは嗤う。
その低く恐ろしい声に身震いし、ひとえの事をお膝の上に乗せて抱き締めます。しとりはちょっと残念そうにしながら、竹刀を弄っています。
しとりはもう私の背丈を越していますから、お膝の上に乗せてしまったら前が見えないんです。いえ、見えないことは分かっていたんですけど。
「氷でも雷は通すだろ?雷電の舞い!」
「ヌガァダ!?」
秘伝ディスクを切り替えず、砂場を熱して出来た空気の層を巻き込み、シンケンマルに静電気を纏わせる志葉様の姿に既視感を感じます。
「(どう見ても雷電残光ですけど)」
しかし、あくまでシンケンマルに静電気を纏わせた技に凍座白也は下がる。当然の判断ですね、身体の痺れで静止した身体が動いてしまう。
荒々しく剣を振るう。
「景、ありゃあなんだ?」
「雷電の舞いですよ」
「志葉の殿様、あんなのも出来るのかよ」
「……左之助さん、貴方も全身に雷纏いますよね」
そう言うと観客席がギョッとした。
まあ、目の前で炎を出したり氷を出したり雷を出したり、ビックリ人間まみれだったのに、主催者もそちらだったらビックリしますよね。
「? あれ雷電残光じゃないの?」
「……ひとえ、また勝手に入りましたね」
「んみぃえぅ」
モチモチと後ろから頬っぺたを揉み、どうやって私がランダムに決めている施錠の方法を覚えているのかを教えてほしくなります。
「聞いたか!志葉殿、雷電残光というらしいぞ!」
「聞いたさ!糸色、教えろ!!」
二人は戦いながらそんなことを言い始め、渋々と戦国時代に生きていた空蝉丸という剣豪の事を語り、雷電残光を編み出した本人だと伝えます。
今はドゴルドの身体ですけど。
その事は語らずに起きましょう。戦いたいなんて言われたら、私は空から見ているトリンになんと言えば良いのかを悩んでしまいますし。
「さて、頃合いだな」
「ぬはははっ、また新たなッ?!」
「気づいてなかったか?いや、お前も熱くなりすぎて分からなくなっていたんだろうが」
そう言うと志葉様は凍座白也の脳天に刀背打ちを叩き込み、意識を刈り取った。血流を止めすぎたことによる酸素欠乏症です。
もしも戦型を解いて戦っていればもっと長く続いていましたね。
「勝者、志葉誠輔!!」
「とりあえず、先ずは一勝だな」
のんびりと笑う志葉様に苦笑を浮かべ、あんなに激戦していたのに本当にすごいですね。