「青龍の方角。出会いは偶然、されど剣を握るのは必然のみ。飯綱を受け継ぐ若き剣術家にして塚山商会の二代目社長!真古流、塚山由太郎!!」
「先生の教えはしっかりと覚えています」
そう言って塚山君は傷の癒えた石動雷十太に視線を向け、免許皆伝の際に受け取った石動雷十太の大刀を革ベルトに佩いている。
明神君の終生の好敵手であり、同じ女の子を愛して奪い合っていた少年は、青年へと成長を遂げ、立派な大人になっています。
「白虎の方角。受け継いだのは龍の御業、心に宿すのは活人の剣の道!強さを求める理由は、ただ一つだけ!追い抜いて、守るため!!神谷活心流、緋村剣路!」
「……よろしく」
ムスッとした顔で出てきた剣路君の頬っぺたが紅葉のような赤くなっていました。なにがあったんだろう?と首を傾げていると、しとりが戻ってきました。
頬が、赤らんでいます
「しとり、まさか?」
「ん、何もしてない」
そう言っていますけど。しとりは恥ずかしそうにしながら、唇を触ったり、パタパタとリボンが耳のように動いてしまっています。
そして、左之助さんもダメージを負いました。
「しとりが、オレの娘がッ、ぐおぉぉ」
「父親はみんな同じ反応ですね」
「ねーさま、チューしたの?」
流石は、ひとえですね。
しとりが話そうとしたとき、剣路君の振るった竹刀が塚山君の構えた大刀の峰を打ってしなり、快音を響かせ、鋭く円角に斬り付けていく。
立風館流剣術「無双剣」────。
「景、あの剣術は何処だ」
「立風館です」
「……どこだ?」
「戦国より続く古流剣術の一つです。ただ、一子相伝の流儀を教えるとは思えません……しとり、たまに出掛けていたのは道場破りですね?」
「ん、けんちゃんも一緒に道場破りしてたよ。
その言葉に左之助さんは轟沈しました。話術だけで左之助さんを倒せるのは、しとりとひとえだけですね。普通はそんなことでは倒せないんですけど。
しくしくと泣いたりはしませんけど。
しかし、剣路君の仕合に集中するべきなのに左之助さんを慰めることに時間を使ってしまいます。悪いことではないんですけれど。
「ん、けんちゃんの小手は速い」
「ねーさまより?」
「ん、わたしよりは遅い」
しとりもひとえも悪気は無いんですが、こうも素直に応えてしまうのは危険ですね。左之助さんみたいに流れ弾で緋村剣心がダウンしています。
それに、あんなにも強くなった剣路君でも、まだまだしとりには届かないのですね。