某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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かつての巡り合わせ 破

のんびりと仕事の再開を進めつつ、しとりと左之助さんと私は東京を歩いている。初めての街並みに彼女はキラキラとした目を向け、肩車してくれている左之助さんの頭をバシバシと叩いて、大はしゃぎしている。

 

「悪いな、歩かせてよ」

 

「たまには自分で歩きますよ、母ですから」

 

まあ、ほとんど歩いてるのは左之助さんだから私は苦労も負担もありませんけど。それでも多少なりと体力は付いたはずと思いたい今日この頃です。

 

「父ちゃん、あれなに?」

 

「アレは……アレら何してんだ?」

 

二人して首を傾げる視線の先を私も見る。

 

そこにいるのは紛れもなく般若と他の御庭番衆も揃って書店の前に並んでいる。何か珍しい外来品の本でもあるのかな?と近付こうとした瞬間、なにやら私を見つめる視線の多さに気付く。

 

いったい、なぜ?そう考えていると一人の女性がキラキラとした目を私に向けたまま「うしおととら」を抱えているのが見えた。

 

ああ、そういうことですか。直ぐにこの騒動の原因は出版社のおじさんの仕業だと理解し、左之助さんの傍に寄って抱っこを私も要求する。

 

「左之助さん、GOです」

 

「ごー!」

 

「よく分からんが走れば良いんだな!」

 

私としとりの掛け声に現状をまだ分かっていない左之助さんが走り出したと同時に般若も駆け出し、それはもう鬼気迫る雰囲気で万年筆と本を構えている。

 

熱狂的なファンですね。

 

「母ちゃん人気者!」

 

「私は左之助さんとしとりに人気者なら嬉しいけど。知らない人に話し掛けられるのは怖いから、このまま走っていきましょうね」

 

「糸色殿、サインをおぉおぉーーーーっ!!!」

 

絵襖を描いたのに、まだ欲しいと!?と驚きながらお姫様抱っこのまま後ろの方に視線を向けると、他の御庭番衆の人達も集まっていた。

 

昔の巡り合わせみたいですごいわね。

 

そう思っていると左之助さんが「初めて般若に会ったときみたいだな。まあ、あの時は負けちまったけど」と笑う。でも、最後には助けてくれたじゃないですか。

 

「……フフ、そうですね。あの時も今も左之助さんは私を助けてくれる大好きな人です」

 

「おう!オレも大好きだぜ!」

 

「むう…!」

 

私達のやり取りに拗ねるしとりの可愛い顔に「勿論、しとりも大好きだよ」と左之助さんと一緒に伝えてあげると嬉しそうに笑って左之助さんの頭に抱きつき、思いっきり左之助さんの目を袖で覆った。

 

「ま、前に人が!左にもいます!」

 

「お、おお、見えねえのに走ってるぞオレ!?」

 

そんなことに感心しないで!?

 

 

 




【概要用語解説】

本作の単語や転生者に関する事を解説します。

【蛮竜の使い手】

本名不明。
年齢は十代後半(推定)。身長176cm。
「犬夜叉」に登場する七人隊首領・蛮骨の見た目に酷似した青年として生誕した転生者。圧倒的な怪力と妖刀『蛮竜』を振るい、戦国乱世の時代「戦国の三日月」を生き抜いた生粋の戦闘狂として歴史に名を刻み、当時の「比古清十郎」と親しい関係を持っていた。

しかし、彼の人生は人間を相手取るだけに留まることはなかった。「ドクトル・バタフライ」の選んだ「特典」たる『統一された世界』によって、戦国時代は「犬夜叉」と重なり、二振りの蛮竜が鎬を削り、壮絶な戦いを繰り広げたという記述が蝶野家の書斎に残っている。



転生する際に選んだ「特典」は「妖刀蛮竜」と「人間として圧倒的な強さを得ること」。



一つ目の特典「妖刀蛮竜」は四魂の欠片を埋め込まずに妖刀として神々の拵えた霊剣・霊槍の性質に近く、妖怪を粉々に切り裂き、砕く。「犬夜叉」の世界とリンクしたため、大鉾自体が自我を持ち、担い手を選ぶ性質も受け継ぐ。

二つ目の特典「人間として圧倒的な強さを得ること」は文字通り、人間の範囲に於いて圧倒的な強さを得る。つまり、妖怪や怪物に勝てる程の力は無い筈だったが、彼はその限界を無理やり越えた。

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