「糸色殿、私が優勝した暁には頼みたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」
「賞金ではなく、頼みですか?」
「はい。私が優勝した暁には蒼紫様の実録伝を描いて頂きたいのです!後世に、後の御庭番衆にも蒼紫様の雄姿と強さを伝えていきたいのです!!」
「般若、あんた、天才過ぎるわ!!」
天蓋を外して入ってきた操さんも加わり、更に襖を開けて入ってきた式尉とひょっとこさん、癋見さんは「そういうことなら俺達の話とのすり合わせがいるな」と部屋に入ってきました。
えーっとですね。
一応、私の書斎なんですけど。
どうして、こんな隠し通路があるのかを聞きたくなります。
しかし、御庭番衆の頭目はどこに?と首を傾げていると窓の外に立っていて、ビクリと身体を強張らせ、眼鏡の度数があっていないのかと繰り返しました。
ですが、普通に立っていますね。
御庭番衆の「実録!影に潜んだ蒼の紫光」なんていうタイトルが議題に上がり始めた当たりで、左之助さんと掃き掃除をしていたしとりに四乃森蒼紫は捕まりました。
いったい、なんだったんでしょうか。
昔はもうちょっとクールな集団だったのに、今はもう四乃森蒼紫大好き倶楽部になっています。一人一枚ずつ、彼の絵襖を持っていますし。
「(どこへ、向かっているんでしょうね)」
「(ん!わたしは玄関に向かってる!)」
唐突に頭の中にしとりの声が聞こえ、とうとう異能までコピーできるようになったんですねと思いつつ、しとりの方を見つめます。
本当に、天賦の才能です。
「(ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!)」
「(はいはい。なんですか)」
「(母様、そーくんがひーちゃんと遊んでる!)」
「(四乃森さんも一緒ですからね)」
「(ひーちゃんにチューしようとしてた!!)」
それは大ピンチですね。
そして、ナチュラルに思念を飛ばすことに慣れてきましたね。流石はしとりです。あとでお餅を作って一緒に食べましょう。
「操」
「蒼紫様!!」
「俺の実録など描かせるな」
「「「「くっ、御意」」」」
慕われていますね、左之助さんだったら「うるせえ」の一言とパンチが飛んでいますよ。まあ、そういうところも左之助さんらしく、慕われているのかと。
「しかし、悩ましいぜ。般若の代わりに俺が糸色に言うことになるなんてな」
「……式尉、私に勝ったつもりか?」
「勝てるんだよ。俺はお前にな」
にらみ合う二人を操さんが注意して、どこかに連れていってしまいました。
やっぱり、大変でしたね。