第九仕合の闘技者に左之助さんは不満です。
左之助さんとしては、八宝斎の出場は物凄く不満なのは分かりますけど。そういう差別的に見るのはダメです。一度、見殺しにされかけましたけれど。
あの時はまだ子供だったじゃないですか。
それを責めるのはダメです。
「景は許してもオレは許さん」
「もう、相手はこどもですよ?」
「しとりより歳上だろ」
もうすぐ二十歳でしたが、流石に流派を作っているだけあって、かなりの腕前になっていると思うのですが、やっぱりそれでもダメなんですね。
しかし、八宝斎が危険なのは事実です。
少なくとも強さは未知数。未来の強さを参考に考えても分からないことは沢山ありますし、左之助さんもあんなに小柄な人と戦ったことはありません。
それだけ強いわけです
「しかし、どうするんですか。彼はもう勝ち上がっていますし、相手もいるのにいきなり棄権させるのはダメだと思いますよ?」
「分かってる。相手はだれだ?」
「伊差川糸魚君です」
「宇水の弟弟子か」
「そうです。勝てそうですかね」
「負けるな。黄金玄武盗まれて、売られるのが目に見えているし。なによりエロガキの戦い方は素手やキセルを使ってたろ」
リーチの差を埋めるのは無理、と。
黄金玄武は無敵の防具ではありません。小さな甲羅を鋭角的に削り、斜行を作ることで斬撃や銃撃に対する防御力を兼ねています。
何より黄金の重さを自由に扱える伊差川君の腕力や体術の強さもあります。
「さて、どうするか」
「その、宇水さんという方の名誉を挽回するためにやって来ているわけですし。八宝斎君が相手でもいいんじゃありませんか?」
「……まあ、宇水の知り合いなら負けないか」
その宇水への信頼は斎藤一と引き分けたことが影響しているのですか?と聞けば「片腕でも強くなろうとするヤツが弱いわけねえだろ」と言われました。
成る程、そういうものですか。
「ん!ん!ん!わたし!わたし、出る!糸魚くん、強いから戦いたい!」
トタトタと廊下を走って、部屋の前を滑っていくしとりを追いかける魑魅魍魎にこめかみを押さえつつ、ちゃんとモヂカラの結界は作動しているんです。
しかし、モヂカラの結界を邪魔という感じでしとりがたまに手で払ったり、斬ったりするので、そうこうしていると、しとりに魑魅魍魎が憑いてくるわけです。
好かれやすいのも大変です
「ぶん殴ってくるわ」
「……はい、お気をつけて」
左之助さんも手慣れて来ましたね。
あとで、膝枕をしてあげましょう。