「しとり、どうしたんですか?」
「ん、ドンが拾ってきた」
春本を持ったしとりの目をそうっと覆い、モヂカラで春本を燃やす。左之助さんの持っているものはひ弱な女の子の物ですから他人のものですね。
八宝斎の代物と思いましたけど。我が家の敷地に埋めるなんていう事は絶対にしないはずです。そんなことをしていたら、流石に私も怒りま、怒れるかな。
「景、どうかしたのか?」
「左之助さん、我が家の敷地に春本を不法投棄する不埒な輩が居ます。捕まえてきて怒って下さい。しとり、中はよんでいませんね?」
「ん、ドンが邪魔したから読めなかった」
「ナイスです、ドン。あとで骨をあげます」
バタバタと尻尾を揺らすドンの前足と後ろ足を拭いてあげ、しとりと一緒にお風呂に向かうドンを見送り、スネコスリの親分が目を細める。
「? なにか見えましたか?」
フスフスと鼻を鳴らす親分は大きく変化し、外に飛び出すと左之助さんをネコバス化した身体の中に押し込み、追随するように蛮竜が飛んだ。
いったい、何を見ているのでしょうか。
ぼんやりと空を飛んでいく左之助さんを見送り、ムジナのボスの背中に乗って帰ってきたひとえは今日も謎の荷物を抱えて帰ってきました。
「ひとえ、それは?」
「あい!かーさまにあげる!」
「……えと、ありがとう」
分厚い本を受け取って開くの見覚えのあるものが見え、アルセーヌ・ルパンの名前の入った本にこめかみをおさえてしまいます。
ジャングラーの基地に行っていたんですね。
いえ、それよりもイギリスに行っていたと考えるのが妥当なのですが、どうやって?と私はひとえの謎のフィールドワークに困惑するばかりです。
「……ルパンマグナムだけ、ありませんね」
「当然だろう」
「ひゃあっ!?」
ぬるりと出てきた人にビックリして、情けない悲鳴をあげてしまう。黒ずくめの変な人が現れ、ルパンコレクションを回収して離れていった。そういうこともあるんですね。
ちょっとだけビックリしました。
「ん、どうしたの?」
「……お風呂にお戻りなさい」
「ん」
水の滴った廊下を「脱」と「水」のモヂカラで水を消して、雑巾で掃除を始めます。さすがに、ちょっとだけビックリしてしまいましたね。
しとりもですけど。
女の子、すごく可愛いんですから気を付けて下さい。現に竹刀を届けに来てくれた剣路君が鼻血を吹き出して、中庭に倒れてしまっています。
タオルだけで、この破壊力です。
「剣路君、生きてますか?」
「か、かえります」
フラフラと竹刀を置いて、帰っていきました。