某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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かつての巡り合わせ 急

なんとか御庭番衆のサインを求める熱烈な言葉と行動を振り切った左之助さんをしとりと一緒に労いながら大橋の下、河原で竹刀を振るう二人の青年を見掛ける。

 

「弥彦と由太郎か。二人ともデカくなってるな」

 

「男の子の成長は早いですねえ…」

 

しかし、期間は短いものの子供の頃から仲良くしているわけだし。明神君、塚山君、三条さんの三人は幼馴染みと言えるのではないだろうか。

 

五年間の幼馴染み。

 

……なんだか頭の中に余計な記憶が過るけど。下手に思い出すのはやめよう。今はどんな結果になろうとも三人が仲良く過ごせる結果を願うばかりだ。

 

「由太郎はまだ飯綱を使えねえのか」

 

「アレは石動さんの体躯と並外れた膂力が必要ですし。擬似的に再現しようにも緋村さんのように神速の太刀筋を振るえないとほぼ不可能です」

 

「しとりにも二重の極み教えてみるか?」

 

「ん!やる!」

 

「フフ、その時はお弁当を作って応援するわね」

 

フンスと胸を張って力瘤を作ろうとするしとりの可愛い姿に微笑み、しとりと左之助さんのためにお弁当も作ってあげる約束を交わす。

 

「弁当か。日本に帰ってきたし、久々に景の作った漬け物が食いたくなるな」

 

「じゃあ、帰ったら糠に浸けないとですね」

 

私もフンスと胸を張って力瘤を作ろうとしたら、左之助さんに「景もしとりもそっくりだな、本当に」と笑って、私の頭を優しく撫でてきた。

 

子供扱い……いえ、まあ、年下ですけど。

 

これでも私は母なのですよ?

 

「母ちゃん、抱っこ!」

 

「あら、もうお父さんは良いの?」

 

「ん!」

 

パタパタと両手を動かす彼女を左之助さんから受け取ってお互いを抱き締めるように抱っこしてあげる。この子が生まれて三年、随分と大きく育ってくれたわ。

 

剣路君に左之助さんは一々反応しているけど。まだまだ子供なんだから、そういうのは十を越えてからだと私はそう思う。

 

そして、流石に現代のごとき反抗期は無いとは思うものの。しとりは左之助さんのように力強いし、この子には普通に負けちゃいそうなのよね。

 

「ところでよ。景はどっちが勝つと思う」

 

「個人的には明神君かな。でも実力が拮抗していて、攻めあぐねているようにも見えますけど。……そういう左之助さんはどっちなんですか?」

 

「オレも弥彦だな。由太郎にゃ悪いが、アイツの剣心を追いかける背中を見てる分、どうしてもアイツを応援してやりたくなる」

 

そう楽しそうに二人の激闘を眺める左之助さんと一緒に並んで竹刀を打ち付け、お互いの肩口に竹刀を叩き込んだ瞬間、自分が先に当てたと言い争う二人に思わず、苦笑してしまう。

 

 

 

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