八宝斎の攻め手は止まらず、仕合を聞く宇水は静かに片腕で膝を打つ。悔しさも情けなさも無く、ただ申し訳ないという表情の伊差川君。
「糸魚、お前は勘違いしているな。この大会の本質は己の武道武術を極め、最強の称号を得るために競い合っている。俺のためではなく、己のために動け」
「(流石は十本刀の四本目、強い言葉です)」
しかし、そのようにしても良いのでしょうかと悩みつつ、荒々しく宝剣を突き立てて、八宝斎の事を攻撃する伊差川君の顔色は悪くなるばかりです。
「ほれほれ、そんなんじゃ当たらんぞ」
「まだだ!」
「おお、やるな」
宝玉と宝剣を分離して更に攻める手数を増やし、攻撃する伊差川君。その攻撃は一撃も当たることなく、彼の攻撃は終わりを迎えた。
「しょ、勝者、八宝斎!」
「いえーい!!ぴーすぴーす!!」
とんでもなく強くなっていますね。
しかし、左之助さんはものすごくイヤそうに八宝斎の事を見つめています。強気な八宝斎は左之助さんを指差して、べーっと舌をだしました。
そういうのは嫌いです。
いえ、人をバカにするのはダメですよ。
そういうことばかりしていては、ダメなんです。左之助さんも優しすぎるので、まだ子供の八宝斎にも怒っているものの、本気で殴ったりはしていません。
「やい!左之助、ワシが勝ったら景殿の魚拓をもらうぞ!!」
「……景って魚釣りしてたか?」
「いえ、そんなことはしていませんよ?」
それと、八宝斎の言う魚拓は、私の身体の魚拓ということになるんでしょうが、左之助さんにそんなことを言えるわけもありません。
「糸色、貴様の事だ。知っているだろう」
「……その、私の裸を、魚拓のように」
「殺す」
言い切る左之助さんの手を握って落ち着くように伝えつつ、左之助さんだけでなく、斎藤一もものすごく怒っていますけど。そういうものなのかと悩みます。
「女の敵だな。尋問してやる」
みんなの怒りと殺気の籠った視線に竦み、焦った顔になる八宝斎はまずいというものに変わり、左之助さんの代わりにしとりとひとえが動こうとするので、姉妹を抱き締めて動けないようにします。
「左之助さん、悪いことしちゃダメですよ?」
「分かってる」
本当にわかっているんでしょうかと悩みつつ、私のせいでまた大変なことになってしまいましたと、申し訳なく思いながら、三人を動けないように手を握って、抱き締めて、左之助さんにも私の事を抱き締めてもらいます。
「阿呆が。まだ、まともに怒れんのか」
そう言われても……。