般若と式尉の二人は相打ちだったため、最終的に六人になる予定だった大会の参加者は二人の決めた方が肩代わりするということになりました。
「儂に話が来たと言うわけじゃな」
「柏崎さんは京都のお店があるのは分かっているのですが、般若さんと式尉さんの二人が推薦すると。やはり、操さんか柏崎さんになりまして」
「操は進行と止め役だったか」
「はい」
私の言葉に納得する柏崎さんの身体はホムンクルスであり、攻撃を受けても然したるダメージを与えることは出来ません。
しかし、しとりや左之助さんならダメージを与えることは可能だろうと考えつつ、柏崎さんが消えてしまう危険性もあるので加減してほしいです。
なにより、相応の強さを持つ人でないと「天挑五輪大武會」を勝ち残ることは出来ません。柏崎さんは長年の老獪さを備えていますし、遅れを取ることも先ずありません。
「ん、じいやも出るの?」
「しとり殿は不服ですかな?」
「んーん、人じゃない人を斬るの。はじめて」
そう言うと笑顔になるしとりに柏崎さんは笑顔を返し、「果たして斬れますかな?」と返しました。流石は御庭番衆の頭領候補だった御方、怯えもしませんね。
「しとり殿は研ぎ澄ました日本刀のようですな。しかし、切れ味だけを高めた刀は脆く、一度の衝撃で崩れてしまうかも知れませんな」
「挫折を味わうべき、と?」
「うむ、その役目は剣路君が適している。この強豪犇めく大会で登竜門を登りきって、見事な龍と成ることを願うばかりよ」
「ですが、贔屓を抜いてもしとりは明治時代の誇る最強の剣士の一人です。才能も緋村さんや姿お兄様の二人を既に追い越しています」
「……強すぎるゆえに孤独。いや、その孤独を感じぬ程にあの子は太陽のように輝いているが」
「しとりは、どこまでも照らします」
神様も斬ろうと思えば斬ってしまえる。
今のしとりは強すぎる。
左之助さんも強さで言えば、そろそろしとりに抜かされるかも知れないと気付いています。ですが、父親のプライドもありますので負けるつもりはないそうです。
しかし、そう簡単に出来るのでしょうか。
「かーさま、ひーも遊びたい!」
「ひとえもですか?」
「あい!」
柏崎さんの代わりにひとえが出ても構わないと言ってくれる人はいるでしょうが、ひとえは戦ったりした経験は一度もありませんし。
左之助さんが許してくれませんよ?
「じいやもそう思うー?」
「ホッホッ。なんのなんの、儂に剣を振るえば分かりますが、ひとえ殿の戦っているところは見たことがありませんのでな」