某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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焔と文明開化 序

日本に帰ってきて早一ヶ月ほど経過し、夏は終わり、もうすぐ初秋を迎える時期だ。いよいよ私も記憶には残っていない此方に生まれ変わる前も完結することなく連載中だった「北海道編」という原作に不安を抱く。

 

「左之助さんも喧嘩屋復業ですね」

 

「オウ。けど、その前にオレの名前を騙って悪さする馬鹿共に本物の怖さを教えて来るぜ。しとりは母ちゃんを守っててくれよ?」

 

「ん!がんばる!」

 

「あの、逆なんじゃ……あの?」

 

潮風に晒されていたのに錆び一つ無い蛮竜を担いで街の方に向かっていく左之助さんを見送りつつ、私に抱っこを要求するしとりを抱き上げる。

 

やっぱり同い年の剣路君より少し小柄なのは私の遺伝かも知れないわね。もしも大きくなったとき、しとりが小柄で悩んだらどうしましょう。

 

「なにする?」

 

「うーん、あ、しとりもお絵描きする?」

 

「ん!んーっ!!」

 

私の提案にしとりは興奮ぎみに頷き、その可愛さに頬っぺたをくっ付けて頬擦りしてしまう。柔肌で子供体温の心地好さに、久しぶりに書いた左之助さんの錦絵を何処に置こうかと悩んでいたことを忘れそうになる。

 

「母ちゃん、なにつくるの?」

 

「じゃあ、お父さんを描こうかな」

 

「しとりも父ちゃんかく!」

 

私の言葉を真似するしとりを抱っこしながら部屋の中に戻り、和紙と炭に和紙を糊で巻き付け、その上に布を巻き付けた専用の鉛筆を用意して、しとりに渡してあげる。これなら可愛いお手々が汚れる心配はない。

 

上手に左之助さんを描けるかな?と自分の娘の描く姿を眺める最中、ふと彼女の指使いに違和感を覚える。私の書き方に似ている?

 

まさか見ただけで覚えたの?

 

やだあ、ウチの子って天才なのでは?なんてことを真剣に考えながら左之助さんを描いていくしとりのプクプクと膨らんだ彼女の頬っぺたを突いてみたい気持ちになる。でも、今はお絵描きに集中しているから出来ないわね。

 

「ん?んっ!」

 

「フフ、そっくりねえ」

 

ツンツンした左之助さんの髪の毛を描き満足そうに頷くしとり。私も絵の出来映えに何度も感心したように頷いてしまうし。

 

仕方ないとは思うけど。

 

「母ちゃんもかく!」

 

「ありがとう。でもお母さんかお母様と呼んでね」

 

「やっ!母ちゃん!」

 

うぅ、これも左之助さんが事ある事に私の事を「母ちゃん」と呼ぶせいだけど。もう、そう呼ばれるのが当たり前で、わざと呼ばれたくなっている自分がいる。

 

「……しとり、これは?」

 

「おうまさん!」

 

これは、どう見ても般若ではないだろうか。

 

そういえば左之助さんが般若を怖がるしとりのために彼をお馬さんと称していたわね。

 

 

 

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