左之助さんは満足そうに私の事を抱き締めたまま布団の上に座っています。
あの一週間の寝室を別にするという反省を促す行為は効果を出しているのでしょうが、うなじや首筋を噛まれたりするのは容認できないのですけれど。
「あの、そろそろ離してもらえますか?」
「断る。一週間も耐えたんだ」
そう言って眼鏡を外そうとする左之助さんの手を掴んで見るもあっさりと押し負け、ボヤける視界の中、不安を誤魔化すように左之助さんの腕を握ります。
「あ、あの、布団に返してもらえたり」
「もう布団の上だろ?景の布団は今日から一週間、オレの腕の中だ。イヤなら座敷牢で一週間一緒に過ごすって言うのでも構わねえぞ?」
「さ、左之助さんは卑怯です」
真っ暗な部屋の中、布団に入っているのは分かるんですけど。視界はボヤけて、暗いのに見えるものも見えない状況に不安になります。
でも、背中に聴こえる左之助さんの力強い鼓動を聞いていると安心できるので、これはこれでありなのかと思ったりもしていますね。
「景、暗いから何しても見えないな」
「えと、そうですね?」
「眼鏡が無いから逃げ場もなしだ」
「その時は、しとりかひとえを呼びます」
「……怒るなって、ちょっとした悪ふざけだ。いや、まあ、何かして良いならオレはお前を」
「左之助さん、今日は寝ましょう。グルグルと考えが纏まらなくなるのは、眠いからです」
身体の向きを入れ換えて、左之助さんの頭に手を添えて、胸元に抱き締め、ポンポンと優しく彼の頭をなでてあげながら、一緒に寝ます。
「……景、もうちょっと力強めていいか?」
「はい、どうぞ」
ぎゅうっと私の身体を抱き締める左之助さんの腕の力は強くて、そのまま潰されるんじゃないかと不安になったりもします。
「左之助さんは、私の心臓の音、ちゃんと鳴っていますか?」
「鳴ってるよ。小さいし、消えそうだけどな」
「フフ、それならいいです。私が」
その先を言おうとしたら口許を掴まれ、言わないようにされているのが、分かりました。いえ、そういう気持ちになるのは分かっていたことです。
「んッ……なんですか?」
いきなりうなじや首を触られたことにビックリしながらも、左之助さんの手は首から胸元に移動し、焦りと不安で強張る身体が布団に乗り、真っ暗な視界に動くものが見えてきました。
「左之助さん?」
「煽ってきたのはお前だからな」
えぇ……そういうつもりはないんですけれど。いえ、受け取り方はそれぞれですよな。
これは、えと?