最後の篩の始まりです。
志葉様と四乃森蒼紫の仕合。
前回のシルベストリの参戦後に選び直した順番に従って、志葉様と四乃森蒼紫の二人は以前よりも広く大きくなった闘技場の真ん中に立っています。
二人とも静かに立っています。
「いざ、尋常に────始めェ!!」
二刀流の小太刀を抜いて、素早く志葉様を斬りつける。ですが、シンケンマルを抜いて、小太刀と鍔迫り合いになり、高速でしのぎを削り合う。一合毎に命を獲る剣術の応酬に訳も分からず、観客席は沸き立って二人の事を応援している。
四乃森蒼紫の首を挟み込み、斬るように振るう御庭番式小太刀二刀流「呉鉤十字」を志葉様は半歩ほど後ろに飛び退き、躱す。
即座に踏み込んだ志葉様はシンケンマルを下段から切り上げ、四乃森蒼紫は小太刀の鍔で太刀筋を止める。しかし、志葉様は手首を返して突き技に繋げ、僅かに四乃森蒼紫の脇腹の薄皮を衣類ごと切り裂く。
「景、殿様の技ってよ」
「はい。姿お兄様の糸色流剣術です」
切り上げと突き技を同時に行う。
糸色流剣術「
剣道で言えば巻き上げ型の打突を素早く行っている様なものですが、志葉様と池波君、姿お兄様は私よりも親しく旧知の関係ですし。お互いに技を教え合っていても不思議ではありません。
四乃森蒼紫も流水の動きで間合いと緩急をつけ、志葉様の太刀筋を狂わせ、二刀流によって疾く六連続の突き技を放って志葉様に手傷を与えた。
顔の傷に触り、血を舐めた志葉様は肩に担いでいたシンケンマルを降ろし、無形の構えに転じる。緋村剣心も使っていた無防備を装い、刹那的に相手を斬り倒す、最速の返し技の構え───。
ですが、その無形の構えを小太刀を投げ放つ御庭番式小太刀二刀流「陰陽撥止」で崩し、右手で一刀を防ぎ、左手で小太刀を白刃取った志葉様の身体へと四乃森蒼紫が猛打を叩き込み、蹴り飛ばした。
「左之、お主の乱打に似ているでござるな」
「馬鹿言え。オレのヤツは力任せに殴ってるだけだ、あんな急所を殴り潰すなんざオレには無理だ。癖で二重の極みになっちまう」
そう言う左之助さんに緋村剣心は何とも言えない表情を向けつつ、私のそばに座っているしとりとひとえは四乃森蒼紫の手の動きを真似ています。
「(あの首を折りに向かうのが御庭番衆としての定石ですが、随分と優しくなっていますね。やっぱり、操さんとお子さんのおかげでしょうか?)」