しとりは竹刀を片手に持って、草鞋の帯を強く締めると第二仕合のために闘技場に跳んで降り、砂を揺らすことなく軽やかに着地しました。
緩やかに舞う髪の毛。
幼さを残しながらも凛とした顔に観客席の男の子達の視線はしとりに向き、みんなが頬を赤らめていたり、見惚れていたりします。
八宝斎も闘技場に降りるものの、視線は酷く冷たくて可哀想に思えましたけど。先日、また下着泥棒しているところを捕まったのは知っています。
「いざ、尋常に────始めェ!!」
操さんの言葉が響く。
先手、八宝斎の手裏剣が舞う。
しとりは一番最初の手裏剣を弾き返して、すべての手裏剣を弾き落とすという技巧を披露し、観客席は沸き立つ最中、この仕合を見る闘技者は冷や汗を流しているようにも見えてしまう。
たった数週間で、またしとりは強くなった。
私が青天井と称したしとりの成長性は衰える事を知らず、ピークに達する事はありません。人間の存在レベルが違いすぎるんです。
「左之助さん、しとりは強いですね」
「そうだな」
「ねーさま、さいきょー!」
ひとえもそう言って両手を動かし、嬉しそうにしとりの戦いを見下ろして、しとりに迫って猛打を放つ八宝斎。ですが、キセルホイップも扇子ホイップも技術で封殺され、彼の手技はしとりに通じない。
「ならば、八宝大火輪じゃあ!!」
巨大な花火玉を取り出す八宝斎にしとりは竹刀を唐竹に振り抜き、導火線を斬ると同時に八宝斎のお腹に竹刀による打突を叩き込み、吹き飛ばす。
技術の進化です。
「ん、ハッピーは弱いね」
しとりは素早く竹刀を振るって八宝斎を滅多打ちにしてしまいました。あまりにも鮮烈にして苛烈、可憐さの奥に秘めた強烈な花が咲き誇りました。
「(人の剣速ではないんですよね)」
私の目は見えていますが、しとりの放った滅多打ちは二百七十三回という回避不可能。一撃を受ければ絶対に当たる、刀藤流「連鶴」の動きです。
剣術指南書に書いた覚えはありますが、四十九手の全てを繋ぎ合わせて、私は連鶴その物を使いきるなんて想像もしていませんでした。
「防具の重み。ん、備えてたね」
「わ、わははは、は、しとりちゃんは強すぎるからこれぐらいしないとじゃ」
鎖帷子を脱いだ八宝斎にしとりは感心し、竹刀を闘技場に突き刺して、ゆっくりと電光丸を抜刀し、素早く八宝斎の身体を斬りつける。
圧倒的な速さと強さです。
いったい、しとりは何処を目指しているのでしょうね。強さに限界を持たない分、さらに強さを増した。もはや、地上最強なのでは?