某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

1501 / 1502
相楽左之助 対 緋村剣路 序

左之助さんは蛮竜ではなく両手に包帯を巻いた即席のバンテージと「悪一文字」の法被を着てきます。ここ二年ほど着ることの減っていた。

 

喧嘩屋として───いえ、一人の敵として認めた相手に対するときに纏うことの増えた服を着たという事は、左之助さんは本気で剣路君を殴るつもりです。

 

明神君も塚山君も緋村剣心も薫さんも恵さんや燕さんも、みんなが「アイツ、やりやがった」という呆れた視線を左之助さんに向けています。

 

「いざ、尋常に───始めェ!!」

 

竹刀を構える剣路君。

 

対して、左之助さんはズボンのポケットに両手を差し込み、ドッシリと立っています。元々格闘技や武術に精通している訳ではありませんし。

 

あの様な態度を取る時は、大抵不破信二に面倒な事を教えられたときです。ドクトル・バタフライに伝えて、本当に最強の布陣で敗北……普通に逆転されそうなので最強の布陣作戦は無理ですね。

 

「ん、大丈夫」

 

しとりが笑った瞬間、先に動いたのは剣路君です。

 

神谷活心流の正統派剣道の動きで素早く左之助さんに斬り込み、紙一重の間合いで避ける左之助さんに面打ち、胴打ちと繰り出していく。

 

左之助さんはハンドポケットのまま避けていたその時、左手を抜いて剣路君のおでこに手のひらを押し付けるように吹き飛ばした。

 

「左之助!!」

 

「か、薫さん、仕合ですから」

 

「薫殿、落ち着くでござるよ」

 

私と緋村剣心で薫さんを落ち着かせている最中、しとりは頭を押さえて立った剣路君を見つめて笑う。しとりにとってはもう怒る以前の問題なんですね。

 

「景さん、左之助の攻略法とかないの!」

 

「えと、左之助さんは喧嘩殺法の無手勝流ですので。格闘技のように決まった型や構えは無いですし、技は二重の極みだけです」

 

私の言葉に薫さんは「そういえばそうだったわ」と悩ましげに頭を抱えています。ですが、二重の極みも鉤突きや昇拳でも使えます。

 

シンプルに左之助さんは強いんです。

 

「父様にも弱点はあるよ」

 

「しとり?」

 

「ひーもしってる!」

 

「なに?!」

 

「「母様(かーさま)」」

 

ビシッと二人とも私を指差して、薫さんたちは納得したように頷きました。確かに、いつもいつも捕まりそうになったり、捕まったりと大変です。

 

しかし、そんなに弱点ですか?

 

............十分に弱点ですね。

 

あれだけ誘拐されていたくせに、まだ自分が弱点じゃないと言えると思っていたんですか。うぅ、どうせ、私は左之助さんの弱点です。

 

でも、がんばっているんです。

 

 

 

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