左之助さんに二人の事情を話し、隣の家の緋村剣心や薫さん、明神君にも話を伝える。私の不用意な行動もまたしても怒られてしまったけど、二人の処遇は神谷道場の門下生、私達の家に下宿しているということになった。
「ウチのカミさんに手出したら殺すからな」
「ん!ころしゅ!」
「しとり、だめよ?」
しとりに危ない言葉遣いを直すように言いつつ、長谷川悪太郎と井上阿爛の二人は嬉しそうに笑っている。まあ、私と薫さんにエッチな視線を向けてくることはないし。そこまで警戒する必要はないと思うのだけれど。
「まずは仕事を探す所からだな。お前ら出来そうな仕事ってあるか?」
「飯は多く食える!」
「一応、交渉や算術は出来ます」
「……剣心、なんかあるか?」
「拙者は東京内の道場を巡って出稽古を付けているだけでござるからな。余り大それた事を言えるほど立派ではござらんよ?」
原作のニート侍より真っ当に仕事している分、今の緋村剣心は良い大人です。左之助さんも少し悩んだように腕を組んだ後、暫くして何かを思い付いたらしい。
大体、彼が何を考えているのかは分かる。
「しゃあねえ。ウチで雇うか」
「喧嘩屋でござるか?」
「それとも絵草紙の手伝い?」
緋村剣心と薫さんの問い掛けに「お前らは何を言ってるんだ?」と左之助さんは溜め息を吐いた。
「腕っ節の無さそうなヤツを喧嘩屋にするかよ。況してや景と二人っきりにするわけねえだろ」
そのまま続けるように言葉を紡ぎ、緋村夫婦の「相変わらず愛されている」という視線にフンスと胸を張って、そうでしょう?と自信満々に頷いてみせる。
五年も妻として生活しているんです。
「じゃあ、雇うってどういうことなの?」
「
「「会社を立ち上げたあぁぁーーーっ!!?」」
「左之助も一城の王か、糸色に張り付いてるプータローから出世したな」
「シミジミと言うんじゃねえよ、殴るぞ」
自由が好きな左之助さんが社長をしてくれるのは私の作った化粧品や製紙産業を横取りしようとする人達から私としとりを守るために、敢えて名乗り出てくれているおかげなんですけど。
「は、働かせて下さい!」
「まあ、阿爛が良いならオレもそれで」
「オウ。扱き使ってやるから安心しろ。ちなみに給金はこんくらいだ」
「二十銭でござるか」
「あ?二円だ」
その言葉に空気が凍った。
まあ、交易って儲かりますからね。向こうのお金持ちは金銭感覚がおかしいので、こうしてお給金も増やしても問題になれば会社を高額で売れば良いわけですし。