某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

1515 / 1516
糸色姿 対 柏崎念至 急

柏崎さんの掌打によって木刀は砕け、姿お兄様は「いやー、参ったね」と笑い、私に視線を向けてきました。おそらく無事に終わることは無くなった。

 

それを伝えたかったのでしょうけれど。

 

緩やかに動き始めた姿お兄様は一歩で音を越えて、二歩目で神速になり、柏崎さんの背中に切っ先の砕けた木刀を打ち込み、倒した。

 

龍巻閃。

 

終わりを迎えたと思ったその瞬間、柏崎さんが姿お兄様に足払いを放って、避け損ねた姿お兄様が倒れ、両腕が交差するように柏崎さんに両肘を掴まれながら羽交い締めを受けていた。

 

「がっ、ぐう!?」

 

「騙し討ちも常套句じゃて」

 

苦しそうに呻く姿お兄様に鎌足お義姉様を見遣る。止めても大丈夫なのかを問うために闘技場から視線を外していると、鈍い音が響き、と闘技場を見る。

 

片腕の関節を外して、無理やり抜け出した姿お兄様はボコンと肩の関節を嵌め直し、ゴキゴキと肩の関節を鳴らして、柏崎さんを睨んでいます。

 

左之助さんは「あれで抜けるのか」と感心しながら、私は姿お兄様に視線を向けて、棄権するように言いたい気持ちを押さえます。

 

正直、姿お兄様は真剣を持てば無類の強さです。しかし、決定打の弱い木刀や竹刀では、私と体格の似たお兄様では倒しきれません。

 

悪いわけではない。

 

でも、姿お兄様はしとりのように見てしまえば強くなるわけではないのです。

 

「止めちゃうの?」

 

「……いえ、お兄様に怒られてしまいます」

 

鎌足お義姉様の言葉に、そう返事を返す。

 

「まあ、姿の新しい剣を見るのもありよね」

 

そう言って笑う鎌足お義姉様の言葉に、私は聖剣の事を思い出しました。おそらく十聖剣の内の一振りでしょうが、その刀身を見なければ判断は出来ません。

 

ゆっくりと剣を抜くお兄様。

 

「やはり、十字剣!」

 

「……知っているの?」

 

「一太刀で十字の衝撃と斬撃を放つ聖剣です。一太刀で三人を斬る飛天の技と相性は最高です」

 

薫さんに説明して、四乃森蒼紫に操さんを頼めば素早く闘技場の中に残っていた操さんを連れ出してくれ。無数の十字傷が地面に刻まれる。

 

圧倒的な剣速に柏崎さんは避けるのではなく、攻めるために前へと踏み込み、走り出す。姿お兄様もその動きに無粋と感じたのか。

 

十字剣を鞘に納めて、駆ける。

 

緋村剣心と違って、真剣で放った天翔龍閃は確実に柏崎さんの身体を切り裂いたはずなのですが、斬った動きが速すぎて、再生斬りになっていますね。

 

「ん、わたしもやりたい」

 

「一つずつ、覚えましょうね」

 

「ん!!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。